7話 ページ27
肩から力が抜けた。
智君、すごくいい考えだね。
相葉君がお父さんだなんて贅沢過ぎるけど、それなら私も後ろ髪引かれずに巣立っていける。ずっと、相葉君とは切れない縁で結ばれているのだと思うと、安心できた。
きっと、相葉君も。
｢リーダー･･････｣
相葉君は溜まっていた涙をポロリとこぼした。手の平でそれをぐいっと拭うと、キラキラした瞳で床に正座をした。
｢お？｣
智君も急いで正座をして、二人は向かい合った。
｢Aのこと、よろしくお願いします｣
｢こちらこそ。･･･････大事にします｣
神妙に頭を下げあって、顔を上げた二人は、お互いに吹き出して笑いあった。
私はもう、人間だったら大号泣だった。
こんな幸せなことってあるだろうか。
大切な二人が、私のことで頭を下げあってくれている。
私は有り難いのと申し訳なさで顔が上げられなかった。
智君は相葉君を見送る時、玄関で改めて御礼を言っていた。
｢･････こっちからAのことくれって言う手間が省けた。あんがと｣
バツが悪そうにはにかんで笑う智君。
相葉君は一瞬目を見開いたけど、暖かく笑った。
｢ああ、俺の方から飼いを主引き受けてくれってお願いしたから？ リーダーも最初からAのこと欲しかったの？ なんだ〜、惜しいことしたなぁ。娘はやらん！ってやりたかったのになぁ。今度またやる？｣
｢ンフフフ。 やろっか｣
ニコニコくすくす笑い合ってる二人は穏やかで、私は目に焼き付けるようにそんな二人を交互に見上げていた。
相葉君が帰って行って、その夜、私達二人のいつもの日常が戻った。
けれど、記念すべき日だなって思っていた私とは違って、智君はいつもと変わったところは特になく、最近の寝る前の習慣である釣竿磨きをしていて、ご満悦な横顔を見せていた。
あれ？ あの感動的なやりとりは夢だったのかなって一瞬思ったけど、それが智君らしくも思えて、私もいつも通りに過ごした。
感謝の言葉は、夜中、人間に戻った時にそっと告げた。
｢ありがとう･･････｣
安らかな智君の寝顔にそっとキスした。
ほんとにほんとに、ありがとう･･････。
今日からまた、よろしくお願いします。
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ao(プロフ) - keiさん» kei様はじめまして。ようこそお越し下さいました。数日中に移行出来ると思うので、待っててくださいね。私も書きながら癒されてます。コメントのおかげでまた頑張れそうです。ありがとうございました。 (2019年9月7日 9時) (
レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - aoさん、はじめまして。素敵なお話をありがとうございます。このお話のねこちゃんと大野さんに癒されて、ドキドキして、何回も読み返してます。更新を楽しみにまっています。 (2019年9月3日 17時) (レス) id: a6dd3c2537 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちはー！本当に彼は魔性ですね･･･。魅力の塊です。酔わされちゃいますね。でも翔君もほんと凄い人で。あらためて、奇跡の五人に感動中です。 (2019年9月3日 6時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
mizuna(プロフ) - こんにちは〜久しぶりの更新に読む前からドキドキしてました（笑）aoさんと同じ様に本来なら私も翔くんタイプに恋する人間なので共感から笑っちゃいました、反対に智くんがそれを凌駕する魅力的な人って事でもあるので大野智は魔性ですね(笑)次回も楽しみにしてます！ (2019年9月2日 15時) (レス) id: a740177e2c (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - blue3104さん» blue3104様こんにちはー！私は皆さんのコメントに癒しをいただいています。夏の終わりは疲れが出がちですから、どうぞご自愛くださいませ。お話読んで、癒されてくださいませ。 (2019年8月30日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年8月10日 9時
