12 告白 ページ12
櫻井さんが聞いてきた。
｢今日はもう帰るの？｣
｢はい。みなさんがいたらここも安心なんですけど、結構走って疲れることが出来たから、今日はもういいかなって｣
｢疲れたかったの？｣
｢あ･･････はい｣
｢どうして？｣
あ、どうしよう。櫻井さんの目がきらりと光った。理由を聞き出すまでは譲らないっていう光り方だ。
｢昼間も様子おかしかったよね？｣
｢あ･･････｣
みんなの目が私に向いてる。
大野さんだけ遠くにいた。
どうしよう。
うまい嘘がつけない自分が情けない。
信頼している人相手には嘘がつきにくい。
でも、言ったらいっそ、吹っ切れるかもな･･････。
私は息を吸い込んで言った。
｢ちょっと、･･････失恋してしまったので｣
言ったら、その場の空気が凍りついた。
みんな、これ以上ないくらい目を見開いている。
イケメンは驚いた顔もイケメンなんだなぁ。凄く迫力がある。
｢や･･･････それちょっと待って？｣
いつも沈着冷静な櫻井さんが焦ってる。
想定外の難問にぶちあたったみたいに顎に手をやってしきりに首を傾げて困惑顔で、他の三人も、何やら訝しい顔でこそこそ囁きあっていた。
･･･････私の失恋でどうしてこんなにみんな深刻になってるの？
｢ごめんなさい。これはお話しすることじゃなかったですよね、こんなこと言われても困りますもんね。･･････今度の長期休暇でリフレッシュして帰って来ますからご心配なく｣
場の空気を取り戻すように笑顔で言ったんだけど、みんなあんまり聞いてない。
相変わらず櫻井さんは首を傾げてブツブツ思案顔だし、三人はコソコソ喋ってるし。
｢あの･･････じゃあ、これで。失礼します｣
頭を下げたんだけど、まだみんな様子が変で、私の話は耳に入ってない様子だった。
櫻井さんは、おかしいおかしいって呟いていて、三人は、ヤバイヤバイって顔をつき合わせている。
よくわからないけど、もう一度頭を下げてその場を去った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 753人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - ひつじーさん» ひつじー様こんにちは。萌えていただけて良かったですー。あの手で引っ張られたら、どこにだって行きますよね!? また遊びにきてくださいねー。お待ちしています！ (2019年4月10日 9時) (
レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 蜂須賀さん» 蜂須賀様こんにちは！最高の褒め言葉をありがとうございます！全部、私が意識して心掛けている事柄をどんぴしゃで褒めていただいて、最高に嬉しいです。毎日更新と話数、重要ですよね!?まぁ無理な時もありますが(笑)。今後もよろしくお願いします。 (2019年4月10日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - keiさん» kei様こんにちは。私もリーマン智君大好物ですー。服装は設定してませんので、スーツでもカジュアルでも、ご想像くださいね。また遊びにきてくださいねー。待ってます！ (2019年4月10日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
ひつじー(プロフ) - 萌えてます〜ドキドキしてます〜手！あの手で私も引っ張られたいです！！(^ω^) (2019年4月10日 4時) (レス) id: 38fc399fe7 (このIDを非表示/違反報告)
蜂須賀(プロフ) - はじめまして。毎朝ムズキュンさせてもらってます。話も好きだし、毎日更新かつ話数も多く、今一番好きな作者さんです！これからも楽しみにしています (^^) (2019年4月9日 17時) (レス) id: 3645ec60b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ao
| 作成日時：2019年4月5日 6時
