6話 ページ27
時間を持て余した私は久しぶりに自分のものの買い物に出掛けた。
店の備品の買い物は毎日のように出掛けていたけれど、自分の買い物は節約しなくちゃいけないのもあって、日曜生活の必需品以外、近頃何も買っていなかった。
お店が始まったら買いに行く余裕は当分ないなと考えて、店で着る服や予備の日用品を買いに出掛けた。
ついでに美容院も行った。もう、一年以上髪を切っていなかったから。おーちゃんに出会った頃はボブカットだったけど、今は肩の下まで伸びていた。手入れのしやすさと衛生面も考えて、再び耳に掛けられる程度の長さのボブカットにして貰った。
美容院を出たら首がスースーした。けれど春の陽気のおかげで寒くはない。
新しい服、新しい髪型。
心が軽くなった心地だった。
お出かけして良かったって思った私だったけど、夕暮れになって家に戻り、一人で冷凍していたカレーをチンして食べていたら、また寂しさが襲ってきて、おーちゃんの不在が心許なく、孤独感に苛まれた。
でも、その夜は自分の部屋で過ごした。おーちゃんの部屋に眠りに行こうかと思ったけど、夕べみたいに身もだえる結果になることは目に見えていたから。
日付が変わってもなかなか眠れなかった。
いつの間にか随分とおーちゃんに依存するようになっていた自分を感じてちょっと落ち込んだ。
翌日はおーちゃんの卒業式だった。
私は出られないおーちゃんの代わりに卒業式に行き、全体的な様子を引きの写真で納めた。
偶然にも山ちゃんを見つけることが出来たんだけど、山ちゃんがウエディングドレスを着ているのを見て驚いた。
全然似合ってなかった。山ちゃんは思っていたよりも肩幅があって、がっしりしている体型だったから。でも凄く楽しそうで、それが羨ましくて、おーちゃんも出席させてあげたかったなって少し悲しくなった。
その日の夕方、おーちゃんから電話がかかってきた。
慌てすぎて電話を取り落としそうになった。
｢なんもない？｣
開口一番で私を心配するその言葉を聞いて、ちょっと涙が出た。
あぁ、声も喋り方も電話越しの空気感も、全部大好きだなって改めて思った。
私、おーちゃんが好きだ。
今まで男の人に使ったことがなかったけど、愛してるって言葉がするりと出て来た。そんな自分に驚いて、でも嬉しくて。
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ao(プロフ) - ぐちこさん» ぐちこ様コメントありがとうございます〜。優しいお話は私の目指すところで、そこを感じ取ってくれて凄く嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。頑張ります！ (2019年3月14日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ぐちこ(プロフ) - こんばんは！お話をお見かけして、優しいお話に次々と読み進めてしまいました☆穏やかな主人公さんに、やさしいおーちゃん。また、主人公ちゃんを取り巻くやさしいいつメン☆温かな気持ちにさせてくれるお話をありがとうございます。これかも、楽しみにしています♪ (2019年3月13日 0時) (レス) id: d58eef616e (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちはー。お仕事大変そうですね。ここで癒せるならばたくさん癒してくださいね。私も頑張ります。確かにみんないい男ですよね。たまには悪い男でも出してみようかな。結局5人以外の男になりそうですけど(笑)。 (2019年3月11日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ao様 年度末の忙しさに癒してもらっております。こんなできる男達は見たことありません(//∇//)言葉のチョイスが素敵です！ (2019年3月8日 20時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - マコトさん» マコト様共感いただけて凄く嬉しいです。幸せです。ほんとに何度見ても飽きませんよね。見る度発見します重箱の隅をつつくように見てます。それでも感心するし飽きません。また是非遊びに来てくださいね〜！ (2019年3月7日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2019年2月23日 17時
