6話 ページ6
寝る前に、おーちゃんがお布団の中でくすぐったそうに言った。
｢あれもっかい言って｣
｢あれ？｣
おーちゃんの腕の中で寝返りを打って向き直った。
綺麗な瞳があんどんの光を受けて輝いてた。
｢智さん｣
｢あっ･･････｣
頬が熱くなる。
期待の眼差しを避けて再び背中を向けたら、簡単にひっくり返された。
力強い！
･･････改まると言いにくい。
｢嫌じゃなかったってこと？｣
｢嫌だったら、ねだらねぇわ｣
｢･･････おーちゃんって呼び方好きじゃない？｣
｢･･････そういうんじゃないけど｣
うん。わかるよ？
･･････私は勇気を出して言ってみた。
｢智さん｣
無言のおーちゃん。
今度はおーちゃんが背中を向けちゃった。
起き上がって覗き込んだら、くすぐったくて堪らないって顔で縮こまってた。
なんだか面白くなって、もう一度呼んでみた。
｢智さん。もう寝ちゃう？｣
くぅって言ってまた悶えてる。
･･････悪戯心が芽生えちゃう。
｢ねぇ智さん。･･････今夜はしてくれないの？｣
どうやらそれはおーちゃんのツボを突いちゃったらしく、とうとうおーちゃんは、言葉にならない声を上げて起き上がった。
｢もういい！ やめて？｣
フニャフニャの声は、何にもしてないのに疲労困憊だった。
｢これから智さんって呼ぼうか？｣
｢や。いい。 ･････いじめんな｣
そう言って、おーちゃんは私を組み敷いた。
今夜も部屋は遊郭を彷彿とさせるムード満点な装飾で。
私がちらりとそちらを見たら、おーちゃんは布団をがばっと私達に頭まで被せて周囲を見えなくした。
始まったらどうせ私には見えなくなっちゃうんだけどね。
おーちゃんに夢中になっちゃうから。
それから時々、おーちゃんがベッドの中で名前呼びをねだるようになったのは･･････内緒の話。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 938人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - ぐちこさん» ぐちこ様コメントありがとうございます〜。優しいお話は私の目指すところで、そこを感じ取ってくれて凄く嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。頑張ります！ (2019年3月14日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ぐちこ(プロフ) - こんばんは！お話をお見かけして、優しいお話に次々と読み進めてしまいました☆穏やかな主人公さんに、やさしいおーちゃん。また、主人公ちゃんを取り巻くやさしいいつメン☆温かな気持ちにさせてくれるお話をありがとうございます。これかも、楽しみにしています♪ (2019年3月13日 0時) (レス) id: d58eef616e (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちはー。お仕事大変そうですね。ここで癒せるならばたくさん癒してくださいね。私も頑張ります。確かにみんないい男ですよね。たまには悪い男でも出してみようかな。結局5人以外の男になりそうですけど(笑)。 (2019年3月11日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ao様 年度末の忙しさに癒してもらっております。こんなできる男達は見たことありません(//∇//)言葉のチョイスが素敵です！ (2019年3月8日 20時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - マコトさん» マコト様共感いただけて凄く嬉しいです。幸せです。ほんとに何度見ても飽きませんよね。見る度発見します重箱の隅をつつくように見てます。それでも感心するし飽きません。また是非遊びに来てくださいね〜！ (2019年3月7日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお
| 作成日時：2019年2月23日 17時
