6話 ページ44
｢おー！ どうだった、釣れたか？｣
玄さんはニコニコ笑っておーちゃんが持ってるクーラーボックスを指差した。
｢おいらは全然。でもAは釣ったよ｣
｢よこしまなことばっか考えてたんじゃねぇのか、おまえ｣
｢･････ちょっと？｣
考えてたの!?
｢はっはーん。昨日はお楽しみだったんだな？ いいねぇ若いって｣
玄さんは鷹揚に笑って、首から下げたタオルで鼻を拭った。花粉症でよぉって言いながら。
｢おまえら午後の船まで時間あんだろ？好子んとこで･･････あぁ、好子は昨日のばぁちゃんのことだ。あっこでその魚捌いて食うか？連れてってやるよ。好子ばあちゃん、おまえらんこと気にいってな、暇そうだったら拾って来いっつぅから｣
私はおーちゃんと目を合わせて、一も二もなく頷いてお願いした。
｢行きたいです！｣
玄さんは相好を崩した。
｢よっしゃ。任しとけ。荷物はトラックの後ろに積んどけよ。 おーい！留蔵よぉ！｣
玄さんは船に近づくと、釣り客のみんなが振り返るくらい大きな声で呼んで、誰が出て来るんだろうと思ったら船長が顔を出してきた。
｢あいつら今から好子んとこ釣れてくから｣
｢おぉそうか！ そんなら俺も後から行くわ｣
｢来るならいいブツ持ってこいよ｣
｢真鯛のでっかいのが持ってける！｣
｢ばかおめぇ！酒に決まってるだろうがよ｣
｢俺はまだ飲めねぇつうのに、ひでぇ奴だぜ。わっはっはっは｣
仲のよさが伺える会話にほっこりしてたら、おーちゃんが私の分の荷物も抱えてトラックに向かって歩き出してた。
足取りが軽いのは喜んでる証拠。
私もそれに続こうとして、はっとした。
振り返ったら、何とも言えない顔をした放っておかれた女の子が立っていて焦った。
慌てておーちゃんを大きな声で呼んだ。
｢おーちゃん！｣
すると声に反応して、トラックに荷物を乗せながら振り返ったおーちゃん。
｢えっと、あ、名前わかんない。･････この女の子ー！｣
まだいるよ？話途中だったよ？
おーちゃんは首を傾げてキョトンとした。
私はもう一度言った。届くように大きな声で。
｢この女の子ー！ 話が途中だったよー！｣
まだきょとんとしてるおーちゃん。
ややして思い出したのか、大きめのよく通る声で返してきた。
･･････でも言った言葉がダメだった。
｢俺、用事ねぇけどー！｣
思わずヒッて息をのんでしまった。
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ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちは。主人公ちゃんいい子なんで、たまに黒くしよう黒くしようとしてるんですが、なかなか染まってくれません。恋人が素敵だからでしょうか。私も青色さんに綺麗な色にしてもらいたいです！ (2019年2月26日 16時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - もちろん、こちらも拝読致しております！主人公ちゃんの清く芯のある人柄が凄く素敵ですねー！こちらも見習う事が多々ありまーす。感謝の気持ちって、ホント大事ですよね。 (2019年2月25日 18時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - わー、cocoro様コメント嬉しいです。お元気でしたか。何度も読み返したくなるようなお話を頑張って作るので、是非遊びに来てくださいね。一緒に楽しみましょう！萌えてくださーい。 (2019年2月25日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
cocoro(プロフ) - aoさん、お久しぶりです。またこの子達に会えて嬉しいです。私はこれからも、いやもしかしたらこれまで以上にここに糖分補給に立ち寄るであろうと思われます(笑)。また一緒に楽しませてください。 (2019年2月24日 20時) (レス) id: 8d2a7d356c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2019年2月19日 20時
