73話 ページ48
ニノが歩きながらなんでもないことのようにして言った。
｢大野さんとは学校で待ち合わせしてなかったっけ？｣
｢部活がある時はそこから一緒に帰ってたし、部活がないときはいつも私が美術室にお迎えに行くパターンだったよ。だからあれは待ち合わせとはちょっと違うかな｣
｢･････でも幸せだったんでしょ？｣
見ると、ニノの方が不安そうにしていて驚いた。
私に、幸せだったよって言って欲しそうで、そこからニノの優しさや私に対する想いが見えてジンとしちゃった。
｢うん。･････でも今ドキドキしてるのはニノにだよ？｣
押し黙ったニノ。
喜んでくれたかなって様子を見てたら、ニノは黙って手をつないで来た。
なんにも言わない。でも、耳だけ赤くて。
雄弁な耳を持っていてくれて良かった。
ニノの家に行くと本当に家の人は誰もいなくて、私は息を吸い込んで気合いを入れてから入った。
･･････きっと今日、キス以上の関係になると思ったの。
でも部屋に入って30分経っても何にもして来ないから、窓から差し込むオレンジ色の西日を頬に受けながら、しないの？って恥ずかしさを堪えて聞いたら、ポーズボタンを押してゲームをする手を止めたニノは、急いでないからって笑って言うから驚いた。
だって私たちには時間がないのに。
｢確かに時間はないね。 でも焦ってやっても嬉しくないし。こんだけ待ったんだから、片付けるみたいにしたくないわけ。わかる？｣
もっともなんだけど。
｢私は片付けるみたいには思ってないけど･･････｣
｢なに、やる気だねAちゃん｣
楽しそうにからかってくるニノは意地が悪い。
でも、一瞬黙った後、床に座った私の手を握って言った。
｢･････ごめん。嘘言った。焦ってやっても嬉しいに決まってる。片付けるようにしたって、なんだって嬉しいよ？当たり前でしょ？どれだけ望んだと思ってるの？ ･････でも今は、自分の熱量が高過ぎて気持ちを持て余してるのが本音かな。欲望よりも一緒にいられる喜びが勝ってる。焦ってないのも本音ね｣
｢そう思ってくれるのは嬉しいよ？ でも私たちには時間がもうないから･･････｣
｢でもこれまではそれ以前の問題だったでしょ｣
確かにそうだ。友達として、当然ニノに触れることもなく、距離を置いて見送るつもりだった。そこから考えれば凄い進歩だ。感動すら覚える。
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ao(プロフ) - kikiさん» kiki様、キュンとして貰えて良かったです〜。今日の更新もしてもらえるといいな。次回最終回です。お楽しみに！いつもありがとうございます！コメント貰えてとっても幸せです！ (2019年2月20日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ありがとうございます。ニノがやっとホントの笑顔になれましたね！最高に可愛い言葉選びにキュンとします！ (2019年2月19日 22時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様、おはようございます！さてさて、今日の更新もにやける一日のスタートにしてもらえるといいんですけど。私は更新前からにやけています。今から更新作業します。待ってて下さいねー。 (2019年2月19日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - さとあすさん» さとあす様、待って下さってありがとうございました。お話を載せる準備は出来ていたのですが、気持ちが追いつかず。でも次第に妄想は今までの以上に溢れ出して。妄想が自分を引き上げると感じました。ありがとうございます。青さんのいいのあるんで、待ってて下さいね！ (2019年2月19日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - おはようございます！朝から切なく、もどかしさからのにやける１日のスタートになりました！ (2019年2月18日 9時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年2月12日 13時
