55話 ページ30
｢二宮に会ったら絶対殴られると思ってたもん。･････あいつ、犬みたいに可愛いくせに俺のこと見るときだけ狼に変わるから｣
そんな様子だったかな？
｢･･････ニノ、友達想いだから｣
｢違うでしょ？｣
｢え｣
先輩の咎めるような声に驚いて顔を上げた。
でも先輩が見ているのは私の後方で、つられるように私も後ろを見やると、そこに息を切らせたニノと、その後ろに同じく息を切らせた水谷さんがいて驚いた。
｢そんなに急いでどうしたの？ なんでここに･････｣
言ってる私の側を通り越して、ニノは鬼気迫る顔つきでつかつかと大野先輩の前に立ちはだかると、その胸ぐらを両手で掴んだ。
｢てめぇ！ どの面下げて現れてんだよっ！｣
聞いたこともないニノの怒声が響き渡った。
私は呆気に取られて止めに入るのが遅れた。
日頃ひょうひょうとしているニノがこんなに感情をあらわにするのは見たことがなかった。
｢おい、目ぇつぶれ。･･････殴らせろ｣
大野先輩は心底嫌そうな顔をして｢ほらやっぱりぃ｣と場違いに気の抜けた情けない声を上げた。
｢絶対こうなると思ったもん〜｣
｢だったら覚悟は出来てんだろうな！｣
｢二宮さ、殴る以外に他ない？｣
｢じゃあ絵を描くその指、パッキリ折ってやるよ｣
にやりと笑ったその顔があんまりにも悪魔過ぎて、私は大野先輩以上に震え上がった。
大野先輩は違う意味でびっくりしていた。
｢一周回って惚れちゃいそう｣
｢ふざけんなこらぁ！｣
ニノは本気で怒っているのに、どこか軽妙なやりとりに見えるのはどうして？
止めに入ろうとしたの。
でも、それを水谷さんが私の腕を掴んで引き留めた。
なぜかこんな時なのにやさしく笑っていて戸惑う。
｢カズの好きにさせてあげて｣
｢えっ!? でもっ！｣
｢カズは本当に辛かったのよ。･････ずっと、ずっと辛かったの。あの頃、大野先輩が突然姿を消したせいであなたは校内で奇異な目を向けられてた。そんなあなたを守ろうとカズは毎日必死だったわ。多分、Aちゃん以上に辛くて、Aちゃんを越えるくらい悲しくて。だからああなるのも仕方ないわ。私だったら、会ってすぐに殴り飛ばしてる。あれでも気を遣ってるのよ｣
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ao(プロフ) - kikiさん» kiki様、キュンとして貰えて良かったです〜。今日の更新もしてもらえるといいな。次回最終回です。お楽しみに！いつもありがとうございます！コメント貰えてとっても幸せです！ (2019年2月20日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ありがとうございます。ニノがやっとホントの笑顔になれましたね！最高に可愛い言葉選びにキュンとします！ (2019年2月19日 22時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様、おはようございます！さてさて、今日の更新もにやける一日のスタートにしてもらえるといいんですけど。私は更新前からにやけています。今から更新作業します。待ってて下さいねー。 (2019年2月19日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - さとあすさん» さとあす様、待って下さってありがとうございました。お話を載せる準備は出来ていたのですが、気持ちが追いつかず。でも次第に妄想は今までの以上に溢れ出して。妄想が自分を引き上げると感じました。ありがとうございます。青さんのいいのあるんで、待ってて下さいね！ (2019年2月19日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - おはようございます！朝から切なく、もどかしさからのにやける１日のスタートになりました！ (2019年2月18日 9時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年2月12日 13時
