6 会えた ページ6
やっぱりこの学校は大きくて、クラスの離れた智君とは、初日の昇降口以降、一度も出会えていなかったのだ。
私は嬉しくなって、一瞬迷って、えいって勇気を出すと、追いついて声をかけた。
｢智君っ｣
智君は最初、面倒そうにゆっくりこちらに視線を向けた。歩みは止めずに。
でも、再会の喜びで綻ぶ私の顔を二度見したら、びっくりした顔で足を止めた。
｢Aちゃんか！｣
｢良かった、覚えててくれて！ ･･････智君、あの時はありがとう｣
｢･･････何かしたっけ｣
｢ええっ！ ･････いっぱいお世話になったのに｣
なんの世話？って不思議そうにしてるから、慌てて説明しようとするんだけど咄嗟に具体的な事柄が出て来なくって焦ってたら、智君が歩き出したからつられて私もその隣を歩いた。
時折すれ違う生徒が、ちらちらとこちらを見ていく。
･･････なんだろう。どうして目立ってるのかな。
制服汚れてる？
自分のスカートの裾を見下ろしていたら、智君が聞いてくれた。
｢学校、慣れた？｣
｢あー、うん。でもまだ全部の校舎は把握してない。だって大きいんだもん｣
ちょっと間を置いた智君。
｢･･････んじゃ、美術室の場所は覚えた？｣
｢わからないなぁ｣
｢今から教えよっか？｣
｢えっ、いいの!?｣
｢また溝に沿って歩かれても困るし｣
それを言われると立つ瀬がない。
智君は私のマヌケぶりを思い出したのか、ンフフフフってとても楽しそうに笑った。
･････その笑い方が可愛くて、怒れない。むしろ溝に沿って歩いて良かったとさえ思う。智君のこと笑わせられたから。
そうして美術室を案内してくれることになって、私は智君の後をついて行った。
さっきまでの落ち込みが癒されていく。
智君って、救急箱みたいな人だな･････。毎回助けてもらってるから。
でもやっぱりすれ違う生徒がちらちらこちらを見て行くから、私は自分の制服を手で払った。
どこか汚れてる？
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ao(プロフ) - あっちゃんさん» あっちゃん様、ご感想ありがとうございます。本当に見ているだけで、ほぅーっとなっちゃいます。口がポカーンと開いちゃって。美人さん過ぎます。あっちゃん様もご自愛なさってくださいね。頑張ります！ (2018年12月13日 9時) (
レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - はじめまして。いつもありがとうございます。ほんとに寒いですよね。成瀬期の彼はもう見ているだけで心も体も癒されます。なにかと世話しなくなる時期ですがお体を大切に、素敵なお話をお待ちしております。 (2018年12月12日 9時) (レス) id: cd7b6e55f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年12月1日 16時
