5 優しい人 ページ5
この学校はマンモス校で、一学年は10クラスもある。
正直、智君と同じクラスになれるといいなって思ったことに嘘はないけれど、本当になれるかと言ったら人数が多いし難しいだろうなと思っていた。
せっかく知り合ったけど、この昇降口で縁も切れちゃうんだろうなって、転校をあまりにもたくさんしてきたために、ドライに考えていたんだけれど、智君のお誘いで、急に私の前の道が開けた心地だった。
･････多分、智君はまた私が道を間違うんじゃないかって心配してくれているんだと思う。
･････なんだろう。この男の子、凄く優しい。上辺だけじゃなくって、体の芯に届くようなじわっとした優しさを持ってる。
｢あ、大丈夫だよ。帰り道は一人で帰れると思うから｣
これ以上迷惑かけられないと思ったの。
でも、一緒に帰りたいなって思う自分もいて、断ったことを既に後悔しかけていた。
｢･･････んじゃ、気をつけて帰んなよ｣
｢うん｣
頷いたけど、思わず吹き出してしまった。
｢え？なに？｣
不思議そうな智君。
｢だって、今来たばっかりなのに、もう一日の終わりみたいな挨拶だから、おかしくなっちゃって｣
私が笑いながら言ったら、智君も、自分の鼻の頭を触りながらフフって笑った。
｢ほんとだ｣
私は、笑ってごめんねって謝った。だって心配して言ってくれたのに笑うなんて失礼過ぎたから。
｢じゃね｣
身を翻して去っていく智君を、感謝の気持ちで見送った。
今まで何度も転校してきたけど、初日にこんな素敵な出来事があったのは初めてだった。
ありがとう、智君。
私、腐ってないで頑張るよ。
頑張ろうって、思ってた。
･････でも学力の差は歴然で、転校して一週間、早速私は落ちこぼれて、放課後、担任の先生に職員室に呼び出され、こってりしぼられた。
｢失礼しました･･････｣
げっそりしながら職員室を出て廊下を歩いていたら、前を歩く男の子の姿に見覚えがあって、思わずアッと呟いた。
智君だ！
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ao(プロフ) - あっちゃんさん» あっちゃん様、ご感想ありがとうございます。本当に見ているだけで、ほぅーっとなっちゃいます。口がポカーンと開いちゃって。美人さん過ぎます。あっちゃん様もご自愛なさってくださいね。頑張ります！ (2018年12月13日 9時) (
レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - はじめまして。いつもありがとうございます。ほんとに寒いですよね。成瀬期の彼はもう見ているだけで心も体も癒されます。なにかと世話しなくなる時期ですがお体を大切に、素敵なお話をお待ちしております。 (2018年12月12日 9時) (レス) id: cd7b6e55f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年12月1日 16時
