37 知らないこと ページ37
私は智君について知らないことだらけだった。
昼休み、いつものようにクラスの隅で一人でお弁当を広げようとしていたら、同じクラスの子が一緒に食べない？って誘ってくれて、椅子とお弁当を持ってそこへ向かった。
ショートカットの、すらりと背が高い牛尾さんと、綺麗な編み込みを背中で垂らしている夢崎さん。
二人とも明るくて、いい子達だった。
｢前からAちゃんと喋ってみたかったんだよね。なんか独特でしょ？｣
牛尾さんは、私のことは麻紀って呼んでねって言って、独特と言ったその意味を説明してくれた。
｢何事にも動じない感じ？ 一人でいても平気そうだし、挨拶したら返してくれるけど、次の展開を期待してない･･････、何て言ったらいいのかわからないけど、孤高の存在みたいな？喋りかけちゃ迷惑かなって感じする。自分の世界があって、そこで十分成り立ってる感じ。これはさぞ頭も良いんだろうって思ってたら、授業はとんちんかんな答えばっかりで笑わせてくれるし｣
夢崎さんが、私はルイって呼んでねと言ってから、麻紀ちゃんの後を引き継いで言った。
｢あなたはさ、堂々とした馬鹿なの？｣
私は激しく瞬きした。
｢堂々とした馬鹿･･････｣
自分で呟いて、思わず口を押さえた。吹き出しそうになってしまって。
ルイちゃんは、綿菓子を食べて生きていそうな、可愛いメルヘンチックな容姿をしているのに、かなり辛辣な性格みたいで、それもまた私のツボをついてきた。
我慢したんだけど堪え切れず、ついに私は吹き出してしまった。
はじめてこの教室で笑った瞬間だった。
麻紀ちゃんがほっとした顔で言った。
｢なんだ、笑えるんじゃーん。安心したよ〜｣
ルイちゃんが首を傾げる。
｢そこで笑わず真顔でいるのが私の中のあなただったんだけど。･･････変ね｣
よっぽどルイちゃんの方が変だと思ったけど、言わないでおいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 714人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - あっちゃんさん» あっちゃん様、ご感想ありがとうございます。本当に見ているだけで、ほぅーっとなっちゃいます。口がポカーンと開いちゃって。美人さん過ぎます。あっちゃん様もご自愛なさってくださいね。頑張ります！ (2018年12月13日 9時) (
レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - はじめまして。いつもありがとうございます。ほんとに寒いですよね。成瀬期の彼はもう見ているだけで心も体も癒されます。なにかと世話しなくなる時期ですがお体を大切に、素敵なお話をお待ちしております。 (2018年12月12日 9時) (レス) id: cd7b6e55f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ao
| 作成日時：2018年12月1日 16時
