1 転校初日 ページ1
高校一年生の夏の終わり、人生で9回目の転校先に初めて登校した日、私はすっかり腐っていた。
せっかく必死で受験して入った高校をお父さんの仕事の都合でたった数ヶ月、一学期で転校せざるを得なくなって、私は今、前の学校の紹介で、本来なら到底入ることの出来ない名門校の校門前にいる。
こちらにも転校生が出来たお陰で途中編入が決まったのだ。
でも、はっきり言って私は馬鹿だった。
･･････あんまり勉強が得意じゃない。ついでに言うなら運動だって出来ない。高校を卒業したら就職する気満々で、いっそ中卒でもいいとさえ思っていたのに。どうしてこんな名門校に行くはめに。
大きな蔦の絡まる立派な門を目の前にして、溜息を着いた。
絶対落ちこぼれ確定だ。
あーあ。次の転校、早く決まらないかなぁ･･････。
｢･･････入んないの？｣
声をかけられて振り返ったら、ここの学生服を着た、温和な顔立ちの男の子が不思議そうな顔で私を見ていた。
･･････ここは生徒の見た目のレベルも高いのか。だったらダメじゃん。勉強で落ちこぼれる前に、私なんて見た目で門前払いかも。
｢私はいいんです。･･････お先にどうぞ｣
身を引いたんだけど、男の子は立ち止まって、何を考えているのかよくわからない顔でまだ私を見ている。
ふふっと笑って男の子が聞いてきた。
｢学校、嫌い？｣
不登校と勘違いされてるのかな。
｢･････好きじゃないですね｣
私がやさぐれながら答えると、男の子はぱっと顔を輝かせた。
｢一緒だわー、俺もだもん｣
私は息をのんだ。
その笑顔は、こっちのささくれだった心が一変に凪いでいくような、とても柔らかい表情だった。
ふにゃっとなる目尻がとても優しい。
･･････心底癒される。
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ao(プロフ) - あっちゃんさん» あっちゃん様、ご感想ありがとうございます。本当に見ているだけで、ほぅーっとなっちゃいます。口がポカーンと開いちゃって。美人さん過ぎます。あっちゃん様もご自愛なさってくださいね。頑張ります！ (2018年12月13日 9時) (
レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - はじめまして。いつもありがとうございます。ほんとに寒いですよね。成瀬期の彼はもう見ているだけで心も体も癒されます。なにかと世話しなくなる時期ですがお体を大切に、素敵なお話をお待ちしております。 (2018年12月12日 9時) (レス) id: cd7b6e55f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年12月1日 16時
