34 ネクタイ ページ34
腹が立って、バキュンってピストルで打つ真似したら、笑って芝生の上に倒れる二宮君。
完全に遊ばれてる。
ハッて気づいたら智君がこっち見てて、びっくりしてしゃがんで身を隠した。
･･････見てたこといつから気づいてたんだろう。まさか最初からじゃないよね？
顔のほてりが冷めてから、そっと中庭に目を戻したらもう誰もいなくてちょっとがっかり。
｢もういない･･････｣
｢誰か探してんの｣
びくって肩が上がった。
振り返ったらふわって綿みたいにふんわり笑った智君がいた。
｢智君･･････どうしたの？｣
｢見てた？｣
あ、ばれてる。
私はいたずらが見つかった気持ちで小さくなりながら頷いた。
｢うん。回ってた｣
｢下りてきたら良かったのに｣
｢う、うん･････｣
｢ニノに会いたくなかった？｣
驚いて智君を見れば、智君は相変わらず笑ってて。ふんわりふんわり。
でも黙っているのは肯定で。
智君には嘘つけないの。
｢ニノ、ここんとこに怪我してんの｣
どきっ。･･････それは私が殴った跡だよね。
｢そ、そうなの？｣
智君黙ってる。
沈黙が怖い。
｢･･････そっかー、あいつ絞めないとな｣
物騒なこと言った。すっごい可愛い顔で。聞き間違い！？
冗談か本気かわからない笑ってる智君とじっと見つめ合って、いたたまれなくなってやっぱり目をそらす。
･･････何してても、智君カッコイイ。
｢衿の後ろ、ネクタイがちょっと見えてるよ｣
さっき遊んでたからずれたんだ。
｢え、どこ？｣
言いながら身を屈める。
ふわってした髪の頭のてっぺんが見えて、胸がきゅんってする。
それって、直してってこと？
触っていいの？
どきどきしながら直してあげたら、顔をあげ様、耳元でありがとって囁かれてどきっとした。
甘い声。
あの時みたい。キスした時、我慢出来ない、可愛いからって言われたときと同じ声。
耳押さえて赤くなってたら、智君が日曜日来るよねって確認してきた。唐揚げパーティのことだってわかって頷いた。
二宮君がいるのはちょっと抵抗あるけれど、智君と一緒にいられるなら我慢する。
｢一緒に行く？相葉ちゃんち初めてでしょ｣
｢いいの？｣
｢Aちゃんが嫌じゃなかったら｣
嫌なわけない！
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
