30 思い出作り ページ30
｢他人のことに興味あるならまだ大丈夫か｣
｢･････そういう嘘に人を使ったら駄目だよ｣
｢嘘じゃないから｣
にわかには信じがたい。さっきの食堂でのやりとり、冗談だったんじゃないの？
｢じゃあ俺の気持ちだけは信じていいよ｣
｢･･････今、人のことを気遣える余裕ないから、後にして貰えたら嬉しいんだけど｣
｢でも聞いちゃったからね｣
｢聞きましたね･･････｣
｢意識しまくって、悲しいこと忘れちゃえ｣
ふふんって笑ってる可愛い二宮君。
･･････多分、とっても頭の回転が早くって、気の使える優しい人だ。
じっと見てたら、目をそらされた。
｢やめて｣
･･････うん、やめればよかったね。二宮君の赤い耳で、本気がちゃんと伝わって来ちゃったから。
｢･･････もったいないよ。二宮君、多分とても素敵な大人の男の人になれるから。私なんかでとまっちゃだめだよ。早く次行かないと｣
｢酷いね。･････思い出くらい作らせてよ｣
｢･････どんな？｣
｢いいの？｣
大きな瞳。綺麗な顔だな･･････。
私は頷いた。
｢できる範囲なら｣
｢じゃあAとやらしいことしたい｣
びっくりして返答につまる。
｢･･････駄目だよ｣
｢正当な理由なら諦める｣
｢好きあってる人がすることでしょ。私達違うよね？ ･･････それに私、したことないから。いつ服脱げばいいとか煩く聞いてしらけさせそうだし、下着つけたまましたいとかわがまま言いそうだし、技術ないし、身体は固いし、二宮君を満足させられないと思う。あと、多分イヤイヤ言って困らせるから、楽しくないと思う｣
パチパチって瞬きする二宮君。
｢･･･････今のでにのちゃん夜のおかずに当分困らないからね。しまった、録音しとけばよかった！｣
本気で悔しがってる。
諦めてもらうために語ったのに二宮君のやる気が増しているのはなぜ？
｢そういうの、全部萌えるからね、男っていう生き物は｣
｢･････おかしいな。研究したのと違う｣
｢研究！なんでそんなことしたの｣
｢初めては童貞の人とする予定だったから、私がちゃんと勉強しないとって思ってたの。恥かかせちゃいけないって｣
言葉も出ない二宮君をちらっと見て溜息を吐いた。
凄いことを喋ってる自覚はあったけど、もう何もかもどうでもよくて。
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
