30 サボる ページ29
ああ、やっぱり！やっぱり二人はつきあい出したんだ。
後から後から出てくる涙に私は生まれてはじめて5時間目の授業をサボった。
屋上に続く階段の踊り場でハンカチ片手にうなだれていたら、ヒタヒタって音が聞こえてきた。
顔をあげれば、まずいって顔をした二宮君がいた。
何故か上履きを両方、片手にまとめて持っていた。足元は靴下だけ。
足音消してたの？
･･････忍者のつもり？
｢音させたら逃げるでしょうが。あんた猫なんだから｣
言いながら上がってきて、隣に腰掛けると靴を履いた。
つめてーねって言いながら。
｢･･････どうしてここにいるって･･･授業に出てないってわかったの？｣
｢あんた、自分が今どれだけ目立ってるか知ってる？ 品行方正の生徒会副会長よ。いなくなったらそりゃ大騒ぎするでしょうが。担任、隣の俺のクラスまで探しにきてたからね｣
｢うそっ、戻らなきゃっ｣
慌てて立ち上がったらスカートを引かれた。
｢その辺りはうまく言っといてやったから｣
｢えっ！？｣
｢あんた今インフルエンザで、保健室で隔離されてることになってるから｣
ものすごい嘘だと思ったけど、力無く座り直す。
｢保健の先生は？｣
｢友達だから｣
･･････あの美人の人妻と？いろいろ聞いてみたいけど今はそんな力もなくって。
｢あんなに変わると思ってなかったから、正直びっくりした。あんたも本当はただの女の子だったんだね｣
さっきの食堂での私の態度のこと？
｢･･････がっかりした？｣
｢余計に興味持っちゃった｣
読めない顔つきで笑う二宮君。
｢それにしても大野さんのこと好きすぎるでしょ｣
｢どうしてわかったの！？｣
｢あの場にいた全員が分かったわ。･････自分のことになると途端に頭が回らなくなるのね｣
｢･････反省します｣
｢うん。十分してね。あれで失恋した男が3人はいたんだからね｣
･･････誰のこと？
｢相葉君でしょ、翔ちゃんでしょ、潤君は･････もう一回ふられてるから置いといて、あと俺ね｣
びっくりして目を見張る。
満足そうな二宮君。
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
