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｢あ･･････｣
途端に顔が赤くなる。
｢さ、さと、智君！｣
声が上擦って、いつもより高くなるトーン。弾む声が押さえられない。
智君と食堂で会うのは初めてだった。食堂で食べてるのは知ってたけど、こっちが校舎の隅でずっと一人で食べてたから会わなくて。会いずらかったし。
制服姿の智君、かっこいい。
白いシャツに青いネクタイ。黒いズボン。
ルーズに結ばれたネクタイの崩し方が絶妙だし、開いた衿から覗く喉仏や鎖骨が色っぽい。捲った袖から見える細いけど筋肉質な腕が男らしかった。
もう、完璧だった。
｢もう帰んの？｣
嘘着きたいけど駄目だよね。
｢うん。智君ここ座って。二宮君いるし｣
言って、私はランチバッグを手首に通すと智君の持っていたお盆を両手で捧げ持って私が今し方座っていたテーブルにそっと置く。
ちらっと目に入ったみんなの顔がびっくりしていたけど、それに関わっている場合じゃない。
｢あんがと｣
お礼言われちゃった。
嬉しい。
｢Aちゃんの友達？｣
里穂ちゃんを見て智君が目をくりっとさせる。
｢あ、こんにちは｣
慌ててる里穂ちゃん。
｢ん。こんちは｣
あ、なんかくすぐったい。
｢Aちゃんこと、よろしくね｣
智君･･･････。
なんだか身内みたいだよ。死ぬほど嬉しいけど。
｢あ、こち、こちらこそ！｣
｢里穂ちゃん、こちら大野智君。･････えっと、幼なじみなの｣
｢Aちゃん凄い人と幼なじみなんだね･････｣
確かに智君は凄いけど、何か言い方が普通じゃない。ハテナを頭に浮かべてたら、里穂ちゃんが智君を惚けて見つめながら凄いことを言った。
｢大野先輩、昨日学生絵画コンクールで審査員特別賞貰ったんだよ｣
私は息をのんだ。
いつの間にっ！
｢なんで知ってんの？｣
智君の不思議そうな質問に里穂ちゃんは絶望的な顔をした。
｢･･････私も同じ美術部ですから｣
智君知らなかったの！？
･･････私も知らなかったけど。
｢わりー。俺準備室で書いてっから外のことよくわかんねーんだ｣
｢い、いいんです！いいんです！私みたいなひよっこが大野先輩の視界に映ろうなんて10年早かったです。それにしても本当に素敵な絵ですよね。あんな絵誰にも書けないです｣
鼻の頭を触ってる智君。
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
