18 いー子で ページ18
あっという間に家の前に着いた。
キャリーケースを持ち上げて階段を上がりきったところまで運んでくれた智君。
｢ありがとう、智君｣
雪ちゃんが先に御礼を言ってくれて、私も慌てて頭を下げたら、智君と目が合った。
･･････何か言いたそう？
｢雪ちゃん、ちょっとねーちゃん借りていい？｣
｢えっ！｣
私とシンクロして驚いた雪ちゃん。雪ちゃんは私が智君を諦めたって知ってるから驚いたんだと思う。
｢すぐ帰すから。いーこで待ってな｣
あらら、雪ちゃんてば頬を染めちゃって。やっぱり姉妹だね。好みのタイプ一緒なのかな？
智君は私を誘ってコンビニに向かった。
｢何を買いに行くつもりだったの？｣
｢甘いやつ。息抜きしよっかなって｣
何の息抜きだろうって思ったけど、聞けない。
二人で歩くこの道が愛おしい。いつまででも歩いていたい。
たった往復15分程の道が、永遠にならないかなって本気で祈ってみる。
私はほとほと自分勝手な自分に嫌気がさしていた。
振り返ってみれば、智君はなにも悪くなかった。
経験済みだったとして、それの何がいけないって言うの。私は予約なんてしてなかったし、誰も止める権利なんてないことだ。
なのに、せっかく気持ちに応えてくれたのに、勝手に怒って、勝手になかったことにして。智君の気持ちなんてお構いなしだった。
どう考えても最低な私。
あのあと、智君ちから帰ってきてすぐに気付いて盛大に後悔したけど後の祭りで。
私はすべてを台なしにした自身を許せず、智君のことはもう諦めようとした。
･･････でも、諦められない。気持ちは膨らんで行くばかり。もしかしたら前より好きになっているかもしれないくらい。
でも、もう告白なんてできないから。きっと智君も今さらって思うに決まってる。
泣きそう･･････。
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
