17 私の好きなイケメン ページ17
な、なに、なに？
勝手に赤くなる顔。
｢髪。口にくっついてる｣
｢え、あっ！は、走ったから｣
声が裏返った。
･････だめだな。智君の前だと平静でいられない。
･･････ほんとはずっと気付いてた。いくら素敵女子になろうとしたところで、智君の前に立ったら私はただの小学生の女の子と一緒なの。生徒会を辞退する前の私のまま。外見を取り繕っても中身は何も変わらないの。
いまだって、あの頃のまま、智君にときめいてる。体全部が智君を好きだって言うの。
もう、どうしようもないの。
諦められないの。
｢違う、そっちじゃねーって｣
言いながら、小指で髪の一筋を払ってくれた。
もう、心臓がもたない。ドキドキして倒れそう･･･････。
日が傾き出していた。
｢おねーちゃん、帰ろう？｣
｢あ、うん。そうだね｣
名残惜しいけど、今の私は我が儘を言える立場にない。
別れようとしたら、智君が尋ねてきた。
｢ばーちゃんとこ行ってた？｣
｢うん、そうだよ｣
｢送っちゃる｣
｢えっ！｣
いいよって言えなかった。嬉しすぎて。智君ともう少し一緒にいられる。5分ぽっちのことだけど、幸せだ。
智君も、前みたいに普通で、優しい。
三人で家に向かって歩き出した。
｢智君、お盆はどうしてたの？ いつもみたいに親戚で集まったんでしょう？｣
｢いや。俺は今年はパスした｣
どうして？って聞きたいけど、聞いてもいいのかな。
･･････私の聞きたくない返答かもって思ったら怖くて簡単に聞けなかった。以前ならなんでも聞いちゃってたけど。
戸惑っていると、智君は私の逡巡が分かったみたいで、仕方ないなって顔をして教えてくれた。
｢家でやりたいことあったから。それだけ｣
｢そ、そっか。ありがとう｣
｢ハハッ、なんで礼言うの｣
･･････穴があったら入りたい。
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
