16 姉妹 ページ16
相葉君と別れた後バスに乗って自宅近くで降りた。
｢夕焼けが綺麗だね〜、おねーちゃん｣
｢そうだねー、雪ちゃん｣
二人で目を交わしあって笑い合う。
雪ちゃんのまっすぐで長い髪。細くて繊細。
撫で撫でしたくなって、手をあげかけた。
でも左手に持ったゴロゴロ引いてるキャリーケースと、右手に持ったボストンバッグを見て首を竦める。
諦めよう。
坂を登る手前で、雪ちゃんを振り返った。
｢雪ちゃん、競争しよっか｣
｢･･････さかのぼり？｣
｢そう｣
｢でもおねーちゃん、荷物が私より重いよ？｣
｢雪ちゃんのその大きなリュック、走ったら後ろにひっくり返っちゃうんじゃない？ いくよ。よーい、どん！｣
わーって二人して走り出した。
きゃーって言いながら私をすぐに追い越していく雪ちゃんは元気だ。本気で追い抜こうと思うのに無理だった。
･･････勉強やめて、次は体を鍛えようかな。
どれくらい？
冬の校内マラソンで、全学年の女子450人中で20位くらい？
｢雪ちゃん待って〜！｣
｢おねーちゃん遅い！｣
｢帰ったら私の分の肉まん半分あげるからっ｣
｢買ったお土産のチョコ饅頭をつけてくれたらいいよっ｣
｢それはだめ〜！｣
笑いあって、息を切らせながら雪ちゃんに続いてなんとかゴールしたけど、思わずその場に崩れ落ちそうになった。
やっぱり荷物が重すぎた。
膝に手をついてはぁはぁと荒い息を繰り返していたら、視界に知ってる白いデッキシューズが目に入ってびっくりして顔を上げた。
「智君･･････！」
｢相変わらず仲良いな〜｣
グレーのダメージデニムに黒い半袖のカットソーを合わせた智君。ラフだけど、スタイルが良いからかっこよくって。骨格の綺麗さが際立ってる。
智君はフニャッて音がしそうな私の一番大好きな柔らかい笑顔をしてた。
久し振りに見た･･････。
｢こんちは、雪ちゃん｣
｢こんにちはー、智君。お久しぶりです｣
｢おっ、ちゃんと挨拶できるようになったんだな。すげぇ。おいらよりすげぇわ｣
言って、智君はくしゃくしゃと雪ちゃんの髪を撫でた。
可愛いのと可愛いのが笑いあってて、とっても微笑ましい。
･･････告白なんてしなければ良かった。そしたら私も一緒に笑えたのかな。
ようやく息を整え終わったら智君が私を見て、くすっと笑った。
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
