15 確定か？ ページ15
｢池谷さんだよね。俺、同じ学校の1年の相葉雅紀。俺は体育コースだから存在なんて知らないと思うんだけど｣
｢雪ちゃん、帰ろう｣
｢わーっ、待って待って。俺なにかしちゃった？｣
イケメンだから、とは言えない。いや、この人には言っても良さそう？全部笑って許してくれそう。
｢池谷さんって優しいんだね〜。俺勝手にイメージ作っちゃってて、めっちゃ反省した！｣
あー････この人絶対いい人だ。参ったなぁ。･････つめたくできない。
｢それはそう見せてる私が悪いんであって、相葉君はなにも悪くないでしょう？｣
目をぱちぱちしている相葉君。
｢やった！名前覚えてもらっちゃった。自慢しよー学校で｣
なんだかがくっとこけたくなる。
｢おねーちゃんね、こうやっていっつもよく人助けしてるんだよ｣
横からニコニコ顔で口を挟んで来る雪ちゃん。私は慌ててその口をふさいだ。
｢やっぱり！そんな感じしたよー！？ おねーちゃんは自慢でしょ？ 綺麗だし、賢いし、優しいし｣
｢うん、そう。自慢なの！ ･････最近失恋しちゃって元気ないんだぁ。本当はもっと明るいし、冗談も言うんだけどね｣
｢こ、こら雪ちゃん｣
顔が熱い。
たぶん、今私。
｢可愛い！真っ赤になってる｣
ですよね！
はぁ･･････。もう嫌。
｢失恋したって本当？ もったいないな。俺だったら絶対失恋させないのに。･･････本気だよ？｣
初対面なのにこの積極性はなんなの？
でも、きっとこういう人が世の中にあふれかえれば世界は平和だ。
･･････このイケメンは、もしかして童貞かしら。
｢これから、池谷さんのことAちゃんって呼んでもいい？ ･･････呼びたいな｣
なあに、その甘い声はっ！前言撤回、絶対童貞じゃない！
私は雪ちゃんの手を引くとくるりと身を返した。
｢また学校でねー｣
ちぎれそうなほど手を振っているイケメン。
イケメンはみな脱童貞説がいよいよ確定されてきた。
･･････最悪だ。
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
