12 ジェントルマンなイケメン ページ12
夏休みに入って、私はアルバイトを始めた。
とにかく忙しいところがいいと思って、駅前の人気のカフェにした。いつも行列が出来ているお店で、パンケーキとパスタが人気だった。
白地に水色のストライプの可愛いワンピースタイプのユニフォームは今の私には全然似合ってないと思ったけど、面接で合格したんだからって気にしないことにした。
人生で初めてのバイトということもあって、最初は不慣れで、焦ることも多かったけれど、2週間もすればなんとか慣れた。
｢オーダーお願いします。白いパンケーキとティラミス、海の幸の山盛りパスタ、シーフードカレー、海老のシーザーサラダ、ジンジャーエール、アイスミルクココア｣
言ってから、オーダー表をプリントアウトしたものをボードに貼付け、ドリンクの準備をする。
｢それ、追加でもう一つ作って｣
背後からそう言ったのは同じアルバイトの松本潤君だった。
顔の濃いイケメンで、バイトリーダーでもある。同い年で、私より三ヶ月早く、春から働きはじめたばかりだというのに、もうこの忙しい人気店のリーダー役を任されているのはとても凄い。
最初はイケメン具合に拒否反応が出たけれど、仕事にプライドを持ってるその姿勢に好感が持てたので、拒否反応はなりを潜めた。
休憩室で休んでいると、ちょうど同じタイミングで休憩になった松本君が入ってきた。
｢お疲れ｣
｢お疲れさまです｣
｢タメなのにそろそろ敬語で話すのやめねぇ？｣
｢でもバイトリーダーですから｣
｢おまえだってリーダーくらいすぐ出来るだろ？おまえだけだぜ、オーダーを記憶して帰ってくる奴。みんなタブレット使ってんのに｣
｢私も使ってますよ｣
｢ちげーわ。それはプリントアウトするためだろ。記憶してるから仕事が早くて間違いもない。気も遣えるし頭もいい。子供やお年寄りにも優しいし、俺、そういう奴好きだよ｣
｢･･････自分の記憶力を高める勉強のためです｣
｢優等生は言うことが違うね｣
私は松本君から目をそらして読んでいた途中の文庫本に目を落とした。
･･････最悪なことに松本君は同じ学校だった。
｢前のおまえは好きじゃなかったけど、今のお前は好きだよ｣
臆面もなく言う松本君は多分ラテンの血かイタリアの血脈を受け継いでいるに違いなかった。
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作者名：あお
| 作成日時：2018年3月19日 14時
