17 送ってあげる ページ17
｢俺もロックで｣
振り返ったら、智が少し苛立った様子でお代わりを注文していた。
｢明日仕事は？｣
｢･････ない。最後の休みだし、気にせず酒飲めんのも今日までかな｣
可哀相になった。
いつ呼び出しがかかるとも分からない智はお酒を飲むこともままならないんだ。
｢じゃあ、帰るのはホテルだっけ？ 酔ったら送ってあげるから今日は飲みなよ｣
私の言葉に智は大きく目を見開いた。なぜかマスターまで驚いている。
｢なに？ ･････私、変なこと言った？｣
｢普通、そういうのは男が言うもんじゃねぇの？ ねぇ？｣
智の視線を受けて、クスクス笑いながらマスターは頷いた。
｢ハンサムな女性ですからね｣
｢あー･･････なるほど｣
智は感心して頷いた。
｢この前会ってから、ずっと探してた言葉がそれだわ。ハンサム。･･････かっこよくなってて、びっくりしたし。･･････頑張ったんだ？｣
最後の智の言葉で、私は幼女になったかのように心細くなった。
智に縋り付いて、抱きしめてもらいたくなった。
甘えたい、なんて何年ぶりに思っただろう。
でもせっかく褒めてもらったのに早速ハンサムじゃない姿なんて見せられないから、きどって、ありがとうって御礼を言った。
くすっと笑う智。
見透かされてない･････よね？
･････そっか、智には彼女がいるのか。これから、どうやって距離を置いて接しよう。参ったなぁ。
そんなことを考えながら飲んでいたら、酔ってしまって、店を出た時にふらついて、智に支えられてしまった。
送ってあげるなんてかっこいいこと言っておいて。
｢ごめん｣
私が情けなさと一緒にふぅーっと熱い息を吐き出したら、思いのほか力強い腕が私の腰に回った。
｢疲れてんだよ。その年で外科の師長やってる奴、知らねぇし｣
腰に回った手を意識しながら、恥ずかしさを隠すように軽口を叩く。
｢じゃあ智の知ってる最年少は何歳よ｣
｢･･････31くらい？｣
｢変わらないじゃない！｣
笑いながら智を軽く押して、くっつきすぎるのは良くないと離れようとしたのに、暴れんなってって言われて再び腰を抱き直された。
智の品のいい花の香りに目眩がする。
彼女がいる人にこんなに近づいちゃいけないのに。
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ao(プロフ) - あゆねさん» あゆね様ありがとうございます！私も羨ましいです。こんな元彼がいたらいい思い出作れそうです。頑張ります。感謝です。当分 (2018年11月15日 14時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
あゆね - このお話がとても好きで、毎日読んでいます！主人公ちゃんがほんとに羨ましいですね(笑)これからもaoさんのペースでがんばってください！応援してます！ (2018年11月12日 0時) (レス) id: 1048fe7101 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様、読んでいただけて感謝です。二人に挟まれて羨ましい限りです。今後もご期待下さいませ！ (2018年11月11日 7時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - 今日も続きが読めて嬉しいです！翔くん出てきたー！と思ったらかなりグイグイでキャー！です。智ってば寝てる場合じゃないのにー！とニタニタしておりますよ（笑） (2018年11月10日 20時) (レス) id: 5a2a163833 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様コメントありがとうございます〜！新作も萌えを追求していますので、是非ご一緒にときめいて下さい。気に入ってくださるといいのですが。ありがとうございます！ (2018年11月8日 20時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年11月1日 14時
