13話 ページ36
｢いらっしゃい｣
私が言うと、ニノが嬉しそうに笑った。
｢やっと喋った｣
｢うそ、喋ってなかった？｣
ニノが自分の目を吊り上げた。
｢こーんな怖い顔して立ってるから一瞬引き返そうかと思ったもん｣
｢帰って結構ですよ？｣
冗談で言ったら、真顔になって本当に立ち上がろうとするから思わず腕を掴んで引き止めた。
すると、苦笑したニノが座り直しながら私の眉間を指先で撫でた。
｢なんて顔してんの。こんな寂しそうなの置いてほんとにどっか行くわけないでしょ？･･････何があったか聞いたげるから話してみてよ。意外と聞き上手よ？｣
不覚にもジーンとしちゃった。
ニノ、タイミングが悪すぎるよ。･･････有り難すぎる。
｢でも大野さんのことだし｣
｢え？それ以外にないでしょ？｣
にこって笑うニノ。どうぞって顎で、話しなよって待っててくれてる。
店が温まり出して、心もニノのお陰でぬくもって来た。
私はコーヒーをいつものピンクのマグに入れてニノの前に置き、ポツリポツリと話し始めた。
話すことで冷静さが戻って来る。
｢まぁ････簡単に言ったら嫉妬の話かな｣
｢大野さんとのこと？｣
｢うん。さっきまで器を選びに一緒に行って貰ってたの｣
｢へぇ!? ちゃんと頼ったんだ？ 俺の話を真に受けて｣
｢え？｣
にやりと笑うニノ。
｢思い通りに動くね？ びっくりだわ！ それで店主と仲のいい大野さんを見て、嫉妬して、思わず大野さんを置いて、買わずに帰って来たってことでしょ？ 思い通り思い通り！｣
｢･････すごい。まるで見てたみたいに言うのね｣
｢だってそれを狙ってたから。Aさんは俺の思い通りに動いたってこと。店主が大野さんに惚れるだろうことも、嫉妬するだろうことも、喧嘩になるかもしれないことも、全部俺の思い通りね｣
息をのんだら、くすっと笑ったニノが優しく言った。
｢･･････だから全部俺のせいにしていいから。早く元気になって？ いつもの気合いの入ったAさんに戻ってよ。俺寂しいじゃん｣
｢ニノ･････｣
ニノの優しさが身に染みて、思わず泣きたくなった。
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ao(プロフ) - hanauma528さん» hanauma528様、待ってくださってありがとうございます。一話完結型で、悲しいまま｢続く｣にならない作品なので、安心して作れるから好きな作品です。すぐに次も更新しますから、待ってて下さいね〜。お言葉励みになりました。ありがとうございました！ (2019年2月22日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
hanauma528(プロフ) - aoさん、本当に本当に お待ちしてました。大ちゃんと、主人公ちゃんのやり取りが、ほのぼのして萌えます。次のお話も心待ちにしてます。 (2019年2月22日 7時) (レス) id: e5de554dbb (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - megu.さん» 聞かせて下さいって言ってくださるのを見ただけで、救われた心地になりました。素敵な言葉をありがとうございます。私も夜のラララは好きな回です。音楽用語選び、いつも楽しいんですよ。マイペースで頑張りますね。ほんとにあたたかい言葉をありがとうございました。 (2019年2月21日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - megu.さん» megu.様こんにちは。コメントいただけて嬉しいです。愛を奏でるの創作が近頃すすんでます。お陰でまた作品作りが進みそうです。ありがとうございます！ (2019年2月21日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
megu.(プロフ) - 今さらですが、このお話のタイトル、音楽用語が入ってますね♪『夜のラララ』は、趣があって萌えました(･∀･`)。いろいろお伝えしたいことはありますが、智くんは、妄想もリアルも素敵です♪あお様のペースでこれからも…。できたら、思うこと、聞かせてくださいね。m(__)m (2019年2月20日 19時) (携帯から) (レス) id: 9045134b42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年9月23日 15時
