59 電話 ページ10
｢A、大丈夫なの？｣
マキちゃんの心配そうな眼差しに頷いて見せながら、私は先生のいる方向に目をこらす。
もう先生の退職は確定になっていて、それを惜しむ人たちに取り囲まれて、先生の姿はまるで見えない。
いっぱい告白もされているみたい。
三学期が終わるまで、もう10日もない。学校で先生の姿を見られるのもあと少し。
今夜勇気を出して電話してみよう。
心に決めて、先生がいるらしい塊をじっと見つめた。
夜10時。青衣と青也を寝かしつけて自分の部屋に入り、電話とにらめっこすること20分。
深呼吸して、先生の番号をタップした。
｢も、もしもし。･･･大野先生ですか？えっと、Aです｣
聞こえてきたのは不機嫌そうな声。
『･･････おせぇよ』
咄嗟に時計を見る。
『違うくて。電話かけて来んのが。そっちの番号知らないって知ってた？こっちから掛けられないでしょ？』
家電に掛けるわけにいかないしって、恨めしそうにブツブツ文句を言ってる先生。
それを聞いて、私は胸がぎゅーって絞られるように苦しくなった。
｢先生！ ･･････好きです｣
『･･････んならさっさと声聞かせろ』
ズキューンって、胸が撃ち抜かれる。
凄いな、先生。私、先生になら簡単に殺されてしまう。
『他の男と会う前にこっちだろ？』
｢他の男？｣
誰のことだろう。私には先生しかいないのに。
『え？会ったよね？ 相葉ちゃんと松潤に』
｢あ、あぁー、会いました！ ･･････先生が男だって言うからすぐに分からなかったんです｣
『女じゃないだろ？』
そうだけど。私には｢男の人｣っていうより、｢先生｣の方がイメージが強いからって言ったら大野先生は黙り込んだ。
『俺はどっち？』
｢･･････どっちも？｣
『ずるいやん！』
｢だって。学校でいっぱい助けて貰ったから、大野先生はやっぱり｢先生｣だと思うし。学校の外で見せる｢男｣の先生にはまだあんまり会ったことないし･･････｣
『･････難しいこと言うんだな。いつでも俺は俺だけど？特別自分を作ったことなんてないよ？』
それは、わかります。
だから先生は人気があるの。嘘がないから。
『あー！あっち？』
急に閃いたみたいな声を出す先生。
なんのこと？
『･･････やらし』
｢や、やらしい!?｣
先生！いったい何を想像したんですか!?
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ao(プロフ) - cocoroさん» cocoro様、ありがとうございます。とっても励みになるお言葉、これからもこのスタイルで頑張っていいんだなって勇気を貰いました。ありがとうございました。新作もほんわか度は上がってますので、遊びに来てくださいね。 (2018年8月28日 8時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
cocoro(プロフ) - aoさん。いつも智君のお話ありがとうございます。私はaoさんの創るお話が大好きです。やさしくて芯の強い登場人物達。お互いを思い合っている温かいお話に癒されています。また楽しみにしています。 (2018年8月25日 14時) (レス) id: 0e48c0adf3 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - えみいさん» えみい様。コメントありがとうございます。今回で終了しましたが、また新作をご用意していますので、そちらにも遊びに来て下さいね。よろしくお願いいたします。 (2018年8月24日 6時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
えみい(プロフ) - 更新頑張ってください！！ (2018年8月23日 14時) (レス) id: 91c147309d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年7月28日 23時
