66 ノック ページ17
大野先生がいる･････！
もう、それだけですべてが満たされていく。乾いていた体に潤いが染み込んでいく。
背後をふりかえったら、マキちゃんがいなくなっていた。
そして顔を戻すと、そこに立っていたのはやっぱり紛れも無い大野先生で･･････。
開けてって窓をノックされて、震える手で鍵を開けたら、先生が待ち兼ねたように外から窓を開け、私を見て目を細めて笑った。
｢泣きすぎだろ？｣
｢だって、だって･･････！｣
大野先生は笑顔を消して、苦しげな顔でごめんって謝った。
「寂しくさせてごめん」
「私もごめんなさい。連絡しなくなっちゃったこと。辛くて、寂しさから目をそらしたくなっちゃって･･････」
先生は辛そうに眉を潜めた。
「･･････俺が悪かったの。甘えすぎた」
先生･･････。
私達、まだ繋がってるって思っていいの？わからない。
不安が押し寄せる。
先生が言った。
｢そっち行っていい？ ･･････それともこっち来る？｣
きゅんとなった。
どっちも選べない。嬉しすぎて。先生が今ここにいる現実が幸せ過ぎて。
私が返事できないでいると、先生は唇を尖らせた。
｢早く言えって！ ･･････もう限界なんだけど｣
焦れたように言うと、手を伸ばし、窓枠にかけていた私の手首を掴んだ。
｢あ、じゃあそっちに･････キャッ！｣
即座に伸びてきた先生の両腕が私の腰を掴んで軽々と抱え上げ、視界が回ったかと思うと、あっという間に私は先生の腕の中にいた。
変わらない先生の優しい香りを胸に吸い込んだら、止まっていた涙がまたこぼれた。
｢先生･････！｣
｢ずっと、こうしたかったぁ｣
私を強い力で抱きしめる先生の泣きそうな声が私に元気を与えてくれる。
･･････先生も、私に会いたいって思ってくれていたの？
求められる喜びに、私の体が震えた。会えない間の寂しさが少しずつ癒されていく。
「私達、まだ繋がってる？」
震える私の声に、先生はかぶせるようにして強めに言った。
「離れたことなんて１回もねぇ」
良かった！
私が首に腕を回したら、先生は壁につけた背中を滑らせ、抱き合ったままコンクリートの地面に座り込んだ。
先生の膝の間に抱き込まれ、安心できる胸の中で全てを預けて呼吸する。今までこんなに苦しかったんだって初めて気づくくらい、そこは心から安心出来る場所だった。
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ao(プロフ) - cocoroさん» cocoro様、ありがとうございます。とっても励みになるお言葉、これからもこのスタイルで頑張っていいんだなって勇気を貰いました。ありがとうございました。新作もほんわか度は上がってますので、遊びに来てくださいね。 (2018年8月28日 8時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
cocoro(プロフ) - aoさん。いつも智君のお話ありがとうございます。私はaoさんの創るお話が大好きです。やさしくて芯の強い登場人物達。お互いを思い合っている温かいお話に癒されています。また楽しみにしています。 (2018年8月25日 14時) (レス) id: 0e48c0adf3 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - えみいさん» えみい様。コメントありがとうございます。今回で終了しましたが、また新作をご用意していますので、そちらにも遊びに来て下さいね。よろしくお願いいたします。 (2018年8月24日 6時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
えみい(プロフ) - 更新頑張ってください！！ (2018年8月23日 14時) (レス) id: 91c147309d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年7月28日 23時
