19話(終) ページ41
｢結婚しようって言ってくれてありがとう･･････｣
背中に手が回って、ポンポンと宥めるように叩かれた。
｢返事くれてあんがと｣
ううんって胸を嬉しさでいっぱいにして首を幼子のように振ったら涙がこぼれた。
ぎゅっと智さんの首に抱き着いたら、耳の側でくすぐったい笑い声が聞こえて、ぽつりと呟いてきた。
｢･･･････嫉妬、するよ？｣
｢･･････え？｣
顔をわずかに上げたら、私を見てる目とぶつかった。
少し不器用に笑う智さんが切なかった。
｢夢の中でみんなとキスしたってほんと？｣
｢智さん･･････｣
自嘲気味に笑うそんな顔を見るのは初めてで、言葉が出なかった。
｢･･････ほらね、あんま言わない方がいいの｣
私は込み上げて来るものを飲み込んで、急いで、凄く急いで首を横に振った。
｢夢のことだよ？｣
｢ふふ。･･････うん｣
笑ってるけど寂しそうなのが辛い。
｢頬に、一つずつ貰っただけ｣
｢･････ほっぺた？｣
智さんの視線が少し上がった。浮上しかけてる。
｢顔に。･･･････でも誰も唇にはしなかったよ｣
｢そうなの？｣
｢うん。･･････みんな、夢の中とはいえ、私なんかに気持ちを伝えてくれて嬉しかったよ。でも、社長だけ違ってて。･･････独り占めできないとか、五人で一つのグループだからとか言って、抜け駆けしたくないって拒否されて、キスもしてくれなかったの。凄く、悲しくて･･････｣
思い出して切なくなってたら、智さんってばポカーンって口を開けて呆気に取られてた。
｢夢でしょ？ 濡れ衣じゃねぇ？｣
その通りだから、これ以上の文句なんて言えなくて黙ってたら、智さんは肘を着いて半身を起こした。
｢じゃあ、ここは誰も触ってねぇの？｣
｢全部誰も触れてないよ？ 夢だもん｣
｢良かったぁ｣ そう言って、チュッて唇にくれたキスは幸せの味しかしなかった。
｢智さん。クリスマスプレゼント貰っていい？･･････恥ずかしくないこと言っていい？｣
ピンと来た顔で目尻を下げて笑う智さんに言った。
｢智さんが欲しい｣
｢最初から全部Aのだよ。おいらが好きんなった時からずっと｣
今更だしって得意げに言う智さんに、メリークリスマスのキスを一つ、私からプレゼント。
幸せになろうね。
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ao(プロフ) - ともさん» とも様、いろんなお話を読んで下さっているようで、コメントを拝見するのが次第に楽しみになって来ています。智君を感じたくて作っているので、智君を書くときは気合いが違います(笑)。書けるだけで幸せなのに、嬉しいコメントを貰うことが出来て、更に幸せです。 (2020年4月30日 15時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 今…ずーっとaoさんワールドの中に居て無我夢中で拝読させて頂いてます。智くん担の私にはaoさんのお話がめちゃくちゃツボで〜智くん以外の4人にも愛されながら最後は智くんと結ばれる。すっごく贅沢なお話でいつもキュンキュンしてます。 (2020年4月29日 16時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» KiKi様こんにちはー。お忙しい中、遊びに来てくださって、ほんと嬉しいです！お疲れが出ませんように。また癒せるお話作ってお待ちしてますからねー。 (2019年7月7日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ao様 堪能しました！ホント素敵すぎて忙しい中のオアシスでございます！！ありがとうございます！ (2019年7月4日 12時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizunaさんこんにちは〜。甘くて可愛くてカッコイイ彼を堪能して貰えて良かった！嬉しいです。君と奏でるも書きたいですね。でもまだ書きたいものがいっぱいあるので、いつになるかは未定です。今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年7月11日 14時
