54 最低な私 ページ5
本当に最低。
春香ちゃんが、泊まったことを盾にして、自分の苛立ちをぶつけてしまった。
やっぱり春香ちゃんを男の中に泊まらせたことはよくないことだと思う。でも私はそこに、斗真のことや、自分だって泊まるような深い仲間になりたかったこと、事務職じゃなくって現場で働いてみたいだとか、春香ちゃんみたいに頼りにされたいだとか、私も社長の髪をセットしてみたかっただとか、そういういろんな思いをごちゃまぜにしてぶつけてしまった。
何もかもがもう限界だった。
この年の熱は本当に辛かったの。一人きりだったのもあってよけいに。独り言も喋れず、なんとか高熱を乗り切っていざ出社したら、何もかも手に入れている春香ちゃんが楽しそうにしていて、羨ましかったんだ。
この怒りはほとんど私の嫉妬に過ぎない。
恥ずかしくて、子供みたいに涙がポロポロこぼれた。
一気に覚めていく感情の高ぶり。
｢ごめんなさい･･････｣
謝って許されることじゃない。社長に向かって怒鳴ってしまった。
こんなことしてしまって、もうどっちにしろ、この会社にはいられなくなっちゃった･･････。
｢すみませんでした。････ひっく｣
しゃくりあげるなんて、私いったいいくつよ。
羞恥で体が熱かった。
指先で涙を拭ったら、その指がいきなり掴まれた。
え？と思って目を開けたら、社長が私の涙で濡れた左の指を掴んでて、珍しく緊張したような怖い顔をしていた。
｢指輪･･････外した？｣
ああ、終わりだ。
私は一気に脱力した。
そうだよね、バレるよね。バレてもいいって思っていたから問題ないんだけど、いざ尋ねられると、体の力が抜けていく。
もう、全部が潮時なんだ。腹をくくらなきゃ。
｢･･････はい｣
右手で涙を拭って、頷いた。でも頷いた拍子にまた涙がこぼれて、今度は左手で拭おうとしたのに社長が指を掴んだままで動かせなかった。
そのまま涙が顎を伝って床に落ちた。
｢あ、すみません｣
拭かなきゃってしゃがもうとしたんだけど、やっぱり社長は手を離してくれなくてしゃがめない。
困って、ぐちゃぐちゃの顔で社長をみたら、真剣な顔をして私を見ていた。
｢別れたの？｣
見栄も誇りも何も残ってない素の自分を感じながら、素直に頷いた。
｢これから別れます｣
目を見開く社長。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 755人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい(プロフ) - 謎が解けて良かったです。まだ誰か一人を選ぶ段階じゃいだろうなと思っていたので納得です！ここから！ワクワクしながら続編に行きたいです^_^楽しみにしてます〜！ (2018年7月25日 12時) (
レス) id: cdabb1149e (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ほっそんさん» ほっそん様、ありがとうございます。潤君、人気者ですね！私も潤君だったら絶対素敵で刺激的な恋愛が出来るんだろうなって気がします。飽きない感じ。更新頑張りますので、ちょっとだけ待って下さいね。 (2018年7月25日 9時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 凪さん» 凪様、ご感想ありがとうございます。潤君！カッコイイですよねぇ。男前発言がさりげなく決まるキャラなので書いてていつもノリノリになります。さて、いったい誰でしょう。近日中に更新しますのでお楽しみに。ありがとうございました。 (2018年7月25日 8時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ほっそん(プロフ) - すっごくすっごく楽しく拝見させて頂きました(^^)あの人？誰ダレ！？って思いながら、続編楽しみにしております。私だったら潤くんです(笑) (2018年7月23日 23時) (レス) id: 8b8a666a2a (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - すごく楽しく読ませていただきました。誰とくっつくか続きを楽しみにしています。あの人かあの人かなぁ…と予想しつつ潤くんだったらいいなぁなんて思ってます(笑) (2018年7月23日 18時) (レス) id: 9a4f257d51 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお
| 作成日時：2018年7月11日 6時
