43 可愛い子 ページ43
｢ここのスイッチをまず押さないとね｣
｢あー！そこにあったんですか！ Aさん。このスイッチの場所と私の節穴の目と、どっちが悪いと思いますか？｣
｢えー？ ふふふ、じゃあこいつってことにしておこう｣
えいって私がコーヒーメーカーを指先で弾いたら、春香ちゃんもえいって同じように弾いたんだけど、当たり所が悪くて指を押さえて飛び跳ねた。
｢痛い！爪やっちゃいました！｣
あ、だめ。また笑っちゃう。
この子どうしてこんなに可笑しいの。
この事務所に来て楽しいことなんていっぱいあったけど、こんなに笑ったことはなかった。
｢もー、大丈夫？ 見せて？｣
春香ちゃんの指を確認したけど見た目に怪我はしてなくて、指先で撫でて、ふって息を吹きかけてあげた。
そんな私を頬を上気させて見上げて来る春香ちゃん。
｢･････くすぐったいです｣
｢あ、ごめんね。昔、母がよくしてくれてたの。手当の仕上げだって言ってね。そんなことで良くならないのにね｣
｢Aさんって、モテますよね｣
｢どうかな〜｣
｢色気あるし、優しいし、よく気がつくし。出入りの業者さんがAさんのこと、女神様って呼んでましたよ｣
｢･････ありがとう。この年齢になると褒められることってほとんどないから凄く嬉しい｣
｢彼氏いるんですよね｣
｢うん。･････でも付き合った人の数なんて片手で十分足りるし｣
｢またまた〜。両手でしょ？こーやって、両足もいるんでしょ？｣
言いながら両足をピョンピョン飛び跳ねて上げるから、また笑ってしまって。
涙を拭きながら、春香ちゃんが見てた自分の指に目を移す。
私の左手の薬指に嵌まっている指輪は、斗真から貰った指輪を紛失して、代わりにはめたあの指輪のまま。斗真にもらった指輪はまだ見つからない。
つい先日、斗真に新しい指輪を買いに行こうって誘われて、断った。
断ったのは、新しいものが欲しくなかったって言うのと、次に買いに行くのは婚約指輪になるかもしれないっていうプレッシャーから。
･･････私は今、自分の気持ちに動揺していた。
斗真が結婚したいと思ってくれているのは嬉しいんだけど、だからって、自分が結婚したいかと言われれば、そこまでの気持ちがなくて。
斗真のことは好きだけど、以前はできていた斗真と結婚する未来が、今はもう思い描けなくなっていた。
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ao(プロフ) - ねこっぱちさん» ねこっぱち様。レス遅くなってしまいました。失礼しました。コメントありがとうございます。今も読んで下さってますでしょうか。社長編起きに召しました？私もここの事務員なりたいです！これからもよろしくお願いいたします。 (2018年8月2日 15時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこっぱち(プロフ) - お気に入り1番目Σ(ﾟ艸ﾟ〃)思わずコメントしてしまいました！いつも楽しく読ませて頂いてます。この代理店事務員もう1人雇ってくれないかしら〜♪ (2018年7月13日 14時) (レス) id: 8896252b64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年7月11日 5時
