12 至近距離 ページ12
振り返ったら松本さんがいて、沸いていたお湯のスイッチを切ってくれた。
｢あ、すみません。ありがとうございます。戻られてたんですね。コンペお疲れ様でした｣
｢ありがと。俺の分のコーヒーも入れてくれる？濃いいやつ｣
｢はい｣
でも私が入れている間、松本さんはずっと腕を組んで後ろに立ってた。
･････見られてる。物凄く見られてる。
入れ終わって振り返ったら、松本さんが私をじっと見据えながら壁から身を起こすところだった。
･･････なんとなく聞きたくないけど、口を開く。
｢どうかされましたか？｣
松本さんの彫りの深い顔立ちがゆっくり近づいて来る。狭い給湯室だから、すぐに目の前で止まった。
｢彼氏とうまくいってないの？｣
どきっとした。
どうしてわかったんだろう。指輪のせい？
｢そんなことないですよ｣
言いながら、指輪を隠すように握る。
今日つけてきているのは昨日と同じ自分で買ったダイヤの指輪。なくした指輪はまだ見つかってない。
松本さんは疑ってるみたいで、眼差しが厳しい。
っていうか、どうして私責められてるみたいになってるの？彼氏の有無は松本さんには関係ないよね？
けれどハッと思い出した。彼氏と別れたらクビだっていう社長の言葉を。
もしかして･･････。
｢私は恋人と別れたら駄目なんですか？｣
ビンゴだ。松本さんの目が驚いてる。
｢どうしてそれを･･････｣
あ、もしかして、これ公にしちゃいけないやつ？私がそれを知ったら駄目なの？
私は緊張し始めた体の強張りを深呼吸で抑えて、笑顔を作った。
｢大丈夫ですよ。うまくいってますから。･･････実は、部屋で指輪をなくしてしまったんです。だから代わりにこの指輪をはめてて。不自然に感じたんだとしたら、それを隠そうとしたせいですよ。彼氏とは関係良好です｣
｢ほんとに？｣
｢本当です｣
松本さんの眼力に耐えて、私も見つめ返す。
･･････にらめっこみたいになってる。
でもここで負けたら彼氏と別れそうなことがバレて、私は会社を辞めればならない。負けるわけにはいかなかった。
気合いを入れて見つめ返していたら、コンコンという音がして、ようやく視線が解けた。
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ao(プロフ) - ねこっぱちさん» ねこっぱち様。レス遅くなってしまいました。失礼しました。コメントありがとうございます。今も読んで下さってますでしょうか。社長編起きに召しました？私もここの事務員なりたいです！これからもよろしくお願いいたします。 (2018年8月2日 15時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこっぱち(プロフ) - お気に入り1番目Σ(ﾟ艸ﾟ〃)思わずコメントしてしまいました！いつも楽しく読ませて頂いてます。この代理店事務員もう1人雇ってくれないかしら〜♪ (2018年7月13日 14時) (レス) id: 8896252b64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年7月11日 5時
