1 再就職 ページ1
私が前の会社の倒産に伴って再就職をした今の会社は、広告制作会社。
そこは、従業員を何百人、何千人と抱える大手と比べて、少な過ぎる人数編成でやっているにも関わらず、コンペで大手と競い合っては常勝しており、名だたる企業が指名して仕事を依頼してくるという、超人気企業。手がけたCMや新聞、雑誌広告は、どれもヒットを飛ばしている。若いクリエイター達が今最も就職を希望しているという。
･････私がそのことを知ったのは、第二面接に通った後だった。
私の仕事は事務職だったんだけど、倍率は一流企業の新卒採用並だった。
未来のアートディレクターを目指す若者達が、事務職でもいいからこの会社に関わりたいと、大勢が申し込んで来たらしい。
通りで、選考の過程でやたらに日数がかかるわけだった。
･･････前職は百貨店の店員で、なぜ採用されたのかはいまだもって不明なまま、就職して3ヶ月が過ぎ、少しずつ慣れてきた27歳の今日この頃。
｢ただいまー。あちー！外はまさにアスファルト地獄！｣
この会社で唯一スーツ姿で出勤している櫻井さんは、うちのクリエイティブディレクター。クライアントの希望を聞いて、計画、立案、予算組、制作、納品と、その全ての全体の統括を行っている。言わば頭脳みたいな立場で、本来なら部下がいて指示を出すだけでいいくらい偉いんだけど、人数が少ないから各方面との交渉役も兼ねていて、渉外担当でもあるためよく外出している。
私は立ち上がって、冷蔵庫から冷たいおしぼりを取り出すと、木製のお皿に載せて両手でそれを渡した。
｢お帰りなさい、お疲れ様です｣
｢お、ありがとう。気が利く〜｣
そう言って、いそいそとおしぼりを手にして広げた櫻井さんは、ちらっと私を窺うように見た。
私はくすっと笑って、ウンウンって頷いた。
｢いっちゃって下さい。豪快にどうぞ！｣
｢えー、いいのぉ〜？じゃ、お言葉に甘えて｣
お茶目な顔をしたと思ったら、ごしごしってタオルで顔と首を拭いて、汗を落としてすっきりした顔をした櫻井さんは爽やかなデキるイケメンに元通り。
今日もカッコイイ。
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ao(プロフ) - ねこっぱちさん» ねこっぱち様。レス遅くなってしまいました。失礼しました。コメントありがとうございます。今も読んで下さってますでしょうか。社長編起きに召しました？私もここの事務員なりたいです！これからもよろしくお願いいたします。 (2018年8月2日 15時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこっぱち(プロフ) - お気に入り1番目Σ(ﾟ艸ﾟ〃)思わずコメントしてしまいました！いつも楽しく読ませて頂いてます。この代理店事務員もう1人雇ってくれないかしら〜♪ (2018年7月13日 14時) (レス) id: 8896252b64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年7月11日 5時
