100 縁側 ページ4
結局美代子さんに誘われて智は母屋に行くことに。私も着替えてから母屋に向かったら、縁側で智が涼んでいる姿を見つけてドキッとした。
片足を床に投げ出して、柱にもたれて外を見てる。
時折吹く涼しい夜風が長めの前髪を揺らしていた。それを指先で払う仕草が艶っぽく、暫く見とれていたら、私に気づいてふわりと笑った。
あ、喋らなきゃ。
｢美代子さんは？｣
｢町内会のことでちょっと出掛けてる。親父さんも一緒｣
｢そっか｣
｢おいで｣
手招きされて、私の鼓動が可愛い音を立てた。
智の横には晩酌用の日本酒の徳利と、陶器の器が二つ。美味しそうなタコのぶつ切りと浅漬けがおつまみに用意されていた。
智が注いでくれて、口をつけると甘めの味で美味しかった。
｢夏も、終わりだね･･････｣
私がそう呟いたら。
｢秋の始まりだよ｣
智のこういうところが好きなの。ネガティブな発言が少ないところ。智と出会って、言い方次第で、何でもポジティブになるって知ることができた。
｢秋になったら何が釣れるの？｣
魚つりの話をしたら途端に華やぐ智の空気。ほんと、魚釣りが好きだよね。
魚の話を終えた智は、日本酒でのどをしめらせると、私のほうをちらっと見てくすぐったそうに笑った。
｢夕子と友達になったの？｣
｢え？｣
｢言ってたよ。友達だから、酷いことしちゃだめだって注意されたし。あいつに注意なんかされたの何年ぶりだろ。久々だった｣
私は胸が熱くなった。
夕子さんの気持ちが嬉しくて。友達って、思ってくれたんだ･････。
｢人タラシだよね。夕子もあいつらも、みんな好きになるんだもん｣
｢そんなこと言われたことないよ。･･････智はたらせなかったし｣
もう冗談にしてしまおうって笑って言ったのに、智は笑わずに吐息した。
｢俺もだし｣
｢え｣
｢たらされたけど｣
･････どういう意味だろう。でも、私を受け入れることは出来ないんだよね？
｢智はどんな人なら彼女にするの？｣
｢面倒な質問･･････｣
｢今日一緒に歩いてた女の子とか？｣
｢え？誰それ｣
びっくりしてる。どういうこと？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 396人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - ひつじーさん» ひつじー様、最後のおまけ更新しましたよ。喜んでいただけたら嬉しいな。無事完結しました。本当にありがとうございました。 (2018年7月3日 8時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。最後のおまけを更新しました。これまでコメントをたくさん下さって、本当に嬉しかったです。元気いっぱい貰いました。ありがとうございました！ (2018年7月3日 8時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさんこんにちは!おまけ追加ありがとうございます!フェロモンムンムンな2人の同棲生活覗けて嬉しいです(*´艸｀*)豚汁作って貰えて羨ましいです（笑）少し久々に来たらおまけ増えててもう興奮しちゃいました! (2018年6月29日 11時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじー(プロフ) - おまけの追加！！わ〜ありがとうございます(*ﾉωﾉ)ｷｬ何度でも大歓迎です。幸せ分けてもらってまーす！嬉しい！！ (2018年6月28日 10時) (レス) id: 74e877f3a6 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ひつじーさん» ひつじー様、嬉しいコメント、本当にありがとうございます。嬉しくって載せようか迷ってたお話、さっきアップさせちゃいました（笑）。喜んでいただけたら幸いです。ありがとうございました。 (2018年6月28日 8時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 14時
