117 先生 ページ21
｢私がこの街を出る時に音信不通だったのは？｣
｢ああ、電話も新しくしたから。って、番号教えてなかったっけ｣
私はくすって笑った。
やり方が突発的だけど、智らしい気もして怒れない。
｢でも、よく今日帰って来るってわかったね？ 知ってたの？｣
｢いや｣
･･････知らないのにあそこいたの？
｢帰って来なかったらどうするつもりだったの･･････？｣
｢いつか帰って来るって思ってたよ｣
そう･･････だね。
本当は何度も帰りたいって思ってた。でも、何も変わらないままの私じゃだめだって思ってたから。報告できるような何かが出来るまでいけない。でも、出来たらすぐにでも会いに行こうって思ってた。それを支えに頑張って来たの･･････。
｢･･････また書き出したの？｣
｢うん。･･････いろいろあって、やっぱり智の言った通り、諦めるなんて出来なかったの。そうだ、再来月に本が出るんだよ｣
｢まじで!?｣
やった！って体を離して私を見下ろした。
本当に喜んでくれてるのが分かるから、幸せで幸せで。
｢そっか、また先生になんのか｣
｢智の方が先生でしょ。大先生だ｣
｢やめろって｣
笑ってるけど、ちょっと本気で嫌そうだったからすぐに言うのをやめた。
･･････智って謙虚だから褒められるのも苦手なんだね。凄い才能なのに。
｢じゃあ、一度帰って荷物をまとめて来るね｣
｢うん。･･････待ってる｣
微笑んでくれたけど、すぐに逸らした視線が陰ってて、まさかと思いながら｢寂しい？｣って聞いたら、無言で背中を向けられたから、胸がせつなくなった。
｢智、好きよ｣
しっかりとした温かな背中に頬を寄せて呟いた。
背後から腕を伸ばして、抱き着いたら、その手を握ってくれたから、指を絡ませた。
ゾクゾクする。
智への思いが溢れて、幸せなのに胸が苦しい。
心と身体が智を欲しがって、どうしようもない。
｢好き･･････｣
続けて、誘惑していい？って尋ねようとしたら、腕を引っ張られて正面から抱きしめられた。
いつもの優しい瞳はそこにはなく、智は熱い眼差しで言った。
｢誘惑していい？｣
智･･････。だめ、涙でそう。
｢もうされてるよ｣
言い終わらないうちに、深く重なる唇。
そのまま、会えなかった時間を埋めるように、求められ、愛され、愛し、気づいた時は夕暮れだった。
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ao(プロフ) - ひつじーさん» ひつじー様、最後のおまけ更新しましたよ。喜んでいただけたら嬉しいな。無事完結しました。本当にありがとうございました。 (2018年7月3日 8時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。最後のおまけを更新しました。これまでコメントをたくさん下さって、本当に嬉しかったです。元気いっぱい貰いました。ありがとうございました！ (2018年7月3日 8時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさんこんにちは!おまけ追加ありがとうございます!フェロモンムンムンな2人の同棲生活覗けて嬉しいです(*´艸｀*)豚汁作って貰えて羨ましいです（笑）少し久々に来たらおまけ増えててもう興奮しちゃいました! (2018年6月29日 11時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじー(プロフ) - おまけの追加！！わ〜ありがとうございます(*ﾉωﾉ)ｷｬ何度でも大歓迎です。幸せ分けてもらってまーす！嬉しい！！ (2018年6月28日 10時) (レス) id: 74e877f3a6 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ひつじーさん» ひつじー様、嬉しいコメント、本当にありがとうございます。嬉しくって載せようか迷ってたお話、さっきアップさせちゃいました（笑）。喜んでいただけたら幸いです。ありがとうございました。 (2018年6月28日 8時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 14時
