88 苦しい ページ41
潤の愛車は２台ある。仕事で使う業務用の白いバンと、私用で乗るメタルグリーンのベンツ。
今日はベンツの方だ。
雅紀君といい潤といい、気負いなく高級外車に乗れるって凄いことだ。
｢もうすぐ離れ離れになるんだし、時間がもったいないだろ｣
甘い言葉を業務連絡みたいに言うけど、耳がうっすら赤かった。
｢潤｣
｢なに？｣
｢可愛いね｣
くすっと笑って助手席に乗ったら、運転席に乗り込んできた潤が乱暴にドアを閉めたからびっくりした。
｢どうしたの？｣
｢うるせーわ！｣
怒ってるの？
･･････違うか、これは。
｢かっこいいって言っても反応ゼロだけど、可愛いって言ったら照れるんだね。やっぱり可愛い｣
笑ってたら、急にこっちを怖いような目で見てくるから身を引いた。
｢あ、怒っちゃった？ ごめん｣
慌てて謝ったんだけど、潤の目は射るように私を見つめて来る。
唾を飲み込んだら、潤の手が私のシートにかかった。一気に近くなる距離。
異国のフレグランスと、爽やかな整髪料の香りが私を包む。
｢潤･･････。近いよ｣
｢キスしよ｣
｢え？･････いつもしてくるでしょ？｣
｢違う。気持ちを確かめ合うキス｣
｢気持ちって、でも、私たちは･･････｣
違うでしょ？って目で問い掛けるんだけど、潤の瞳は私を捕らえて離さない。凄い眼光で動けなくなる。
これは確実に魔術のレベルだ！
その時、潤の目がちらっと窓の外に向いた。
｢あいつがこっち来てる｣
視線の先を追って、目を見開いた。
智がまた私の知らない女の子と連れだって歩いていたのだ。私と潤に気がついているのかいないのか、腕を組まれながらこちらに向かって歩いて来る。
笑ってた。
女の子が何か言ったら、嫌そうな顔ををするんだけど、その子の脇腹を親しい様子で肘で小突く。
それはカップルにしか見えなくて。
私は一気に青ざめた。
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ao(プロフ) - 名無し30041号さん» 名無し30041号様、ご感想ありがとうございます！凄くいいところって言って貰えて、思わず自分で読み返しました。嬉しいです。次回も内容濃いいですのでお楽しみに！ (2018年6月8日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
名無し30041号(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回読ませていただいています。すごく面白くて大好きです！今回すごく良いところで終わってて続きがすごく気になってます！更新楽しみにしてます！！ (2018年6月8日 6時) (レス) id: b3503f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。ありがとうございます〜。続投大歓迎です。倉庫のシーンは私の中でこの作品の中でＴＯＰ３の萌え所です。楽しんで下さいねー！ (2018年6月7日 8時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - それにしてもお髭な大ちゃんもワイルドで素敵なんでしょうね（妄想）ヒロインちゃんも素敵なお話書けるといいなぁ。潤君ニノ雅紀君皆可愛い!先輩爽やかです。モテモテ羨ましい!続投すみませんm(_ _)m (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさん更新お疲れ様です!お金じゃなくて愛情が欲しかったんですね夕子さん。子供って何!気になる…逃走しちゃいましたね（笑） (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 9時
