75 天の助け ページ28
露出した肩を掴まれ、気分が悪くなる。
昔、満員電車で動けない私のお尻を触った、あの手を思い出して嫌悪感に吐き気がした。
ああ、やっぱり私は引きこもってなきゃいけない人間なんだ！調子に乗って日の光なんて浴びちゃったから、恋をして、フラれて、こんな目にまで遭っちゃったんだ。
もう、嫌だ･･････。
｢あっち行こうよ｣
恐怖で抵抗できずに引っ張られていた時、近くで誰かが叫んだ。
｢お巡りさーん！誰かー、警察呼んで!? 女の子がさらわれそうになってるから！｣
男達はあっと言う間に手を離して去って行った。
震えながら顔を上げたら、助けてくれたその人は･･････なんと夕子さんだった。
夕子さんが近くの24時間のファミリーレストランに連れて行ってくれて、あったかいコーヒーをご馳走してくれた。
｢あなたいくつ？｣
｢ほぼ30歳です･･････｣
｢あら小学生じゃなかったのね。あなたみたいな人がこの時間にこんな格好で外に出たらどんな目に合うかわかってたでしょうに｣
｢ごもっともです･････｣
もううなだれるしかない。
私は平身低頭で謝罪した。
今日は仕事が休みだという夕子さん。家は駅の裏のマンションなんだそう。
｢で？ 誰呼んで欲しい？｣
｢え？｣
｢お迎えよ、お迎え。翔？カズ？雅紀？潤？ みんなあなたに惚れてるんでしょう？見てれば分かるわよ。あ、･･････智もいたわね｣
ど、どういう意味だろう。
｢あの･･････智以外の人で｣
｢･････そう、わかった｣
ハッとした私は電話しかける夕子さんを慌てて止めた。
｢じゃなかった！ ごめんなさい、誰も呼ばなくていいです。タクシーで帰りますから！｣
｢お金持ってないんでしょう？｣
そうだ、この珈琲は夕子さんの奢りだ。
･･････一応恋敵の夕子さんに、こんなに迷惑をかけてしまうって私、どんくさすぎる。
｢あーら気にしなくていいわよ、智のお金なんだから｣
目を見開いたら、夕子さんが盛大に笑った。
｢おっかし！ あなたから見たら私って最悪なんでしょうね。元カレに別れても纏わり付いて脅してお金をせびる水商売の女。やだ、本当に最低ね｣
コミカルに驚いてみせた後、クスクス笑ってる。
助けてもらったせい？ 私、夕子さんのこと嫌いじゃなくなってる･････。
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ao(プロフ) - 名無し30041号さん» 名無し30041号様、ご感想ありがとうございます！凄くいいところって言って貰えて、思わず自分で読み返しました。嬉しいです。次回も内容濃いいですのでお楽しみに！ (2018年6月8日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
名無し30041号(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回読ませていただいています。すごく面白くて大好きです！今回すごく良いところで終わってて続きがすごく気になってます！更新楽しみにしてます！！ (2018年6月8日 6時) (レス) id: b3503f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。ありがとうございます〜。続投大歓迎です。倉庫のシーンは私の中でこの作品の中でＴＯＰ３の萌え所です。楽しんで下さいねー！ (2018年6月7日 8時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - それにしてもお髭な大ちゃんもワイルドで素敵なんでしょうね（妄想）ヒロインちゃんも素敵なお話書けるといいなぁ。潤君ニノ雅紀君皆可愛い!先輩爽やかです。モテモテ羨ましい!続投すみませんm(_ _)m (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさん更新お疲れ様です!お金じゃなくて愛情が欲しかったんですね夕子さん。子供って何!気になる…逃走しちゃいましたね（笑） (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 9時
