73 そっちでしょ ページ26
｢今日はどうもありがとう。･･････もうこんなお祝いして貰えるような年齢じゃないんだけど、凄く嬉しかった。みんなのお陰でいい夏が過ごせたしね。まさかこの海に来た時はこんな風に過ごせるとは思わなくて･･････。金沢に来たら、良かったら遊びに来てね｣
涙をにじませながらお礼を言って、いい時間が過ごせたなって感動してたのに、それまでずっとたいして喋らなかった智が突然咎めるように言った。
｢何で帰んの？｣
びっくりした。
え、智知らなかったっけ？
｢それは、家族との約束で･･････｣
｢知ってる。守らないと駄目な家族？｣
息をのむ。
｢やりたいことあんのに、やらせてくんない家族なの？｣
｢わ、私の才能がないから、だからそれはしょうがなくて｣
｢才能がないっていつ分かったの｣
言葉に詰まった。
まさか智がそんなことを言うとは思わなかったから、一瞬なんて返していいかわからなくなった。人に意見する智なんて見たことがない。いつも柳のように受け流して、お地蔵さんみたいににこにこ黙っているのに。
でも、才能の塊の智に言われたことにだんだん腹が立ってきて、気がついたら怒ってた。
｢智には言われたくない。･････うまく言ってる人にはわからないと思うけど、崖っぷちで期限切られたら従うほかないって思っちゃったんだもん。もうお金だってないし、帰るしかないんだから｣
｢働けば？｣
｢そんな簡単に言うけど｣
｢難しくしてんのそっちでしょ？｣
カッチーンて私の頭の中で音がした。
智に向き直った私は、膝においていたナフキンを握りしめて言った。
｢お金ないって、どれだけ辛いかわかる？｣
｢俺もないけど｣
｢あなたのは夕子さんにあげちゃってるからでしょ！ どうしてそんな馬鹿なことしてるのよ。夕子さん、あなたから欲しいもの貰えたらお金返すって言ってたよ。欲しいものあげられるんなら、あげて、お金返して貰ったらいいのに。全部それでうまくいくんじゃないの？｣
｢･････喋ったの？｣
｢た、たまたまだよ。たまたま。夕子さんの欲しいものって智の愛？ だったらあげられるんじゃない？ 夕子さんと別れてから彼女作らないでフラフラ遊んでばかりいるのはやっぱり夕子さんへの想いが少なからずあるからでしょ｣
勝手に口が動いて止まらない。
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ao(プロフ) - 名無し30041号さん» 名無し30041号様、ご感想ありがとうございます！凄くいいところって言って貰えて、思わず自分で読み返しました。嬉しいです。次回も内容濃いいですのでお楽しみに！ (2018年6月8日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
名無し30041号(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回読ませていただいています。すごく面白くて大好きです！今回すごく良いところで終わってて続きがすごく気になってます！更新楽しみにしてます！！ (2018年6月8日 6時) (レス) id: b3503f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。ありがとうございます〜。続投大歓迎です。倉庫のシーンは私の中でこの作品の中でＴＯＰ３の萌え所です。楽しんで下さいねー！ (2018年6月7日 8時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - それにしてもお髭な大ちゃんもワイルドで素敵なんでしょうね（妄想）ヒロインちゃんも素敵なお話書けるといいなぁ。潤君ニノ雅紀君皆可愛い!先輩爽やかです。モテモテ羨ましい!続投すみませんm(_ _)m (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさん更新お疲れ様です!お金じゃなくて愛情が欲しかったんですね夕子さん。子供って何!気になる…逃走しちゃいましたね（笑） (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 9時
