72 おめでとう ページ25
花束を抱えて感動しきりの私の手を誰かがとった。
顔を上げたらニノで、私の手首に金色のブレスレットをつけてくれていた。
｢これ、俺からのプレゼント。一回女にアクセサリーあげてみたかったんだよね｣
可愛くないこと言ってるけど、耳が赤いから照れ隠しだってすぐに分かった。それはドレスに誂えたようにぴったりだった。
｢ありがとう･････！｣
聞けば、智は夕方会ったあの後、雅紀君がニノと先輩に連絡して、二人が拉致をしたらしい。
｢今日こんなのするって聞いてなかったから俺なんもないよ？｣
困った顔の智だったけど、来てくれただけで十分だよ？
私が着いた席は智と先輩の間だった。
切ないし、ドキドキしてるけど、悲しい顔は見せられない。せっかくみんなが開いてくれたこの会を涙で台なしにしたくないから。
･･････何より、智が平静過ぎて、まるであのことがなかったみたいな顔つきだったから、悔しかった。私だけ意識していたくない。
｢そのスーツ、どうしたの？｣
智も急遽買ったのかなって思ったら、前から持ってた自前だって聞いてびっくりした。
｢智でもそんなの着るんだ？｣
｢馬鹿にすんなよ？｣
馬鹿にはしてないんだよ。･････照れ臭くて、褒められないだけ。だってかっこよすぎるから。
身体にフィットした漆黒の細身のスーツ。ジャケットの衿に光沢のある縁取りがしてあって、インナーは同じ黒のシャツで、ネクタイがシルバー。
･･････この人のポテンシャルはどれだけ凄いんだろう。
｢智君は授賞式とか記念式典とかに呼ばれることがあるから、その時のために雅紀が選んでクローゼットに入れてるんだよ｣
先輩がそう言ったら、雅紀君が胸を張った。
｢似合ってるでしょ？｣
｢うん。雅紀君のセンスはやっぱり凄いね｣
そしたら智が唇を尖らせた。
｢着てんの俺だし。俺を褒めろよ｣
･･･････本当、いつも通りだね。意識している自分が馬鹿らしくなるくらいに普通だ。
･･････それだけ、智にとっては重要なことではなかったってこと？それとも、私にも今まで通りでいることを望んでいるってこと？
私のことはもう抱けなくても、さっきの子はいいんだ？
潤君が作ってくれる料理は味も見た目も最高に素晴らしかった。でも、一緒に食べられないからそれが寂しくて、デザートの前に無理言って座ってもらった。
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ao(プロフ) - 名無し30041号さん» 名無し30041号様、ご感想ありがとうございます！凄くいいところって言って貰えて、思わず自分で読み返しました。嬉しいです。次回も内容濃いいですのでお楽しみに！ (2018年6月8日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
名無し30041号(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回読ませていただいています。すごく面白くて大好きです！今回すごく良いところで終わってて続きがすごく気になってます！更新楽しみにしてます！！ (2018年6月8日 6時) (レス) id: b3503f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。ありがとうございます〜。続投大歓迎です。倉庫のシーンは私の中でこの作品の中でＴＯＰ３の萌え所です。楽しんで下さいねー！ (2018年6月7日 8時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - それにしてもお髭な大ちゃんもワイルドで素敵なんでしょうね（妄想）ヒロインちゃんも素敵なお話書けるといいなぁ。潤君ニノ雅紀君皆可愛い!先輩爽やかです。モテモテ羨ましい!続投すみませんm(_ _)m (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさん更新お疲れ様です!お金じゃなくて愛情が欲しかったんですね夕子さん。子供って何!気になる…逃走しちゃいましたね（笑） (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 9時
