70 優しいんだよ ページ23
心が、引き裂かれるような悲鳴をあげる。
待って！ 待って、智！ 行かないで！
名前で呼ばれるの嫌じゃなかったの？どうしてその子に許したの？
一度も私を見なかった智の背中を叫び出したい心地で見送っていたら、雅紀君が私の肩を黙って引き寄せた。
｢･･････おーちゃんはさ、多分、今は迷ってるんだと思うよ｣
どういうことだろうって思ったけど返事ができずにいたら、雅紀君は続けて言った。
｢おーちゃんさ、びっくりするくらい優しいんだよ。俺らの中で一番優しいの。人の痛みや苦しみが、わかりすぎるんだよ。だから、今は迷ってるんだと思うな･･････。あんなおーちゃん、見たことないし｣
私には、いつもと同じ、女性関係に緩い智にしか見えなかったよ。
私がそう言ったら、雅紀君は、勝ち誇ったように私を見下ろした。
｢まだまだヒヨッコだねぇ。おーちゃんのこと分かってない。ちっとも分かってないよ？もう、欲しかったら出直しといで！｣
明るく言ってくれるその姿は優しさの塊で、励まそうとしてくれているのが分かったから、不格好だったけどなんとか笑って返したら、雅紀君がよしって頭を撫でてくれた。
胸の痛みが引かないままだったけど、夕方、雅紀君が真っ赤なポルシェに乗って登場したのを迎えた時には驚きで一瞬痛みを忘れていた。
派手な車だけど、ばっちりお洒落なスーツを着こなしてる長身の雅紀君にはぴったり似合っていた。
光沢のあるブルーグレーのスーツ。
さすがモデル。完璧な着こなしだった。
｢今から変身しに行くよ｣
ニコニコ笑顔で乗って乗ってって、女将さんに見送られながら連れていかれたのは入ったこともないようなお洒落なブティックで、雅紀君の知り合いの店だった。
いつもの黒い服を脱がされて、用意されていた何着かの服に着替えていく。
｢うーん、どれもいいけど、これかな？｣
雅紀君が決めたドレスは、色はヌーディなパウダーベージュで派手じゃなかったんだけど、いかんせん肌が出すぎていた。ドレスの色が色だから、遠目からみるとまるで裸に見えなくもない。
ノースリーブのスクエアネックで、谷間がギリギリ見えそうな深さ。スカートはフレアーで膝上丈。光沢のあるシルクの生地が綺麗な陰影を描いていて、とっても上品なんだけど････ね？
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ao(プロフ) - 名無し30041号さん» 名無し30041号様、ご感想ありがとうございます！凄くいいところって言って貰えて、思わず自分で読み返しました。嬉しいです。次回も内容濃いいですのでお楽しみに！ (2018年6月8日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
名無し30041号(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回読ませていただいています。すごく面白くて大好きです！今回すごく良いところで終わってて続きがすごく気になってます！更新楽しみにしてます！！ (2018年6月8日 6時) (レス) id: b3503f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。ありがとうございます〜。続投大歓迎です。倉庫のシーンは私の中でこの作品の中でＴＯＰ３の萌え所です。楽しんで下さいねー！ (2018年6月7日 8時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - それにしてもお髭な大ちゃんもワイルドで素敵なんでしょうね（妄想）ヒロインちゃんも素敵なお話書けるといいなぁ。潤君ニノ雅紀君皆可愛い!先輩爽やかです。モテモテ羨ましい!続投すみませんm(_ _)m (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさん更新お疲れ様です!お金じゃなくて愛情が欲しかったんですね夕子さん。子供って何!気になる…逃走しちゃいましたね（笑） (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 9時
