49 攻め ページ2
｢あ、Aは駄目だよ｣
｢え？｣
｢今隠すのやめようって思ったでしょ。Aは隠さなきゃ駄目。女の子だし、力じゃ負けるから。守りに入るのも立派な攻めだよ。･･････何より俺が心配だから｣
｢先輩･･････｣
｢先輩って呼ぶのやめて貰っていい？･･････いつまでもあの頃から脱せない気がする｣
｢大事な思い出ですよ？私にとっては一番大切な青春の思い出なのに｣
｢俺だってそうだよ。昔のこと思い出してって言ったらいつだって、真っ先にAのこと思い出してた｣
先輩の声に辛そうな響きを感じて胸が切なくなった。
｢この前みんなで飲んだとき、Aが昔のこと話して微妙な空気になっただろ。あれってさ、俺がいつも、酒が入るとAの話をみんなにしてたからなんだ。だから笑い話なんかじゃないって、俺の気持ちを察して、みんなまで落ち込んでさ。悪かったよ。｣
｢私の話？｣
｢そう。忘れられない女の子がいるって｣
ドキッて胸が音を立てた。暑くないのに手汗をかいてしまう。
自嘲気味な先輩の微笑みが私の胸を打つ。
｢思い出は思い出のままにしておこうと思ってた。けど、何倍も魅力的になって目の前に現れられたら･････我慢きかないよね｣
先輩。
何を言うんだろうって、息をのんで構えたのに、先輩は急に笑い出した。
｢この前さぁ、智君連れてお客さんのところに行ったの。お客さんが智君の大ファンでさ、自社ビルに飾る絵を書いて欲しいって依頼の相談にね。御隠居さん、車椅子生活だったから向こうの家に行ったんだけど、そしたらお互い釣りが趣味だったとは知らなくて、絵の話そっちのけで二人で釣り道具のコレクション見て盛り上がっちゃってさ。結局絵はお任せで描くことが決まったの。何のために行ったんだっつーの｣
智らしいなって、微笑ましくなった。でも、先輩の次の言葉に息をのんだ。
｢智君のこと、好き？｣
｢え･･････｣
私が目を見開いたら、先輩は悲しそうに笑って視線を逸らした。
｢やっぱりそうか｣
何て答えていいか分からない。智が好きだけど、先輩の様子を見てたら言えなかった。
｢ああ、言わなくていい。言わなくていい。･･････俺も一番大事な思い出だって言ったでしょ？失恋で塗り変えたくないから｣
｢先輩･･････！｣
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ao(プロフ) - 名無し30041号さん» 名無し30041号様、ご感想ありがとうございます！凄くいいところって言って貰えて、思わず自分で読み返しました。嬉しいです。次回も内容濃いいですのでお楽しみに！ (2018年6月8日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
名無し30041号(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回読ませていただいています。すごく面白くて大好きです！今回すごく良いところで終わってて続きがすごく気になってます！更新楽しみにしてます！！ (2018年6月8日 6時) (レス) id: b3503f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。ありがとうございます〜。続投大歓迎です。倉庫のシーンは私の中でこの作品の中でＴＯＰ３の萌え所です。楽しんで下さいねー！ (2018年6月7日 8時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - それにしてもお髭な大ちゃんもワイルドで素敵なんでしょうね（妄想）ヒロインちゃんも素敵なお話書けるといいなぁ。潤君ニノ雅紀君皆可愛い!先輩爽やかです。モテモテ羨ましい!続投すみませんm(_ _)m (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさん更新お疲れ様です!お金じゃなくて愛情が欲しかったんですね夕子さん。子供って何!気になる…逃走しちゃいましたね（笑） (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 9時
