ちょっと待って。 ページ50
アスフォデルって？ ニガヨモギは苦いヨモギ？ グルグルと疑問がAの頭の中を埋め尽くす。
後ろのミリーに聞こうか……いやでも、今話したら、目を付けられるかも……。
こういう時は、自分で調べるのが一番良い。ハラハラとなるべく音を出さずに教科書の一つ、「薬草ときのこ１０００種」(フィリダ・スポア著)の索引をめくり、そこから「アスフォデル」を探す。綴りとしては、「Asphodel」だろうから、すぐ見つかるはずなのだが……。
「わかりません」
ハリーがそう言うと、スネイプ先生はチッ、チッ、チッと首を横に振った。
「ポッター、もう一つ聞こう。ベアゾール石を見つけてこいと言われたら、どこを探すかね？」
「アスフォデル――――根のあたりにデンプン質がある白い花弁を持つ花で……」Aは思わず、ずっこけそうになった。「Ａ」でも沢山あったキノコと薬草のなかからようやく「アスフォデル」を見つけ出した、あの時間を返してほしい。
そしてまた頭の中を「ベアゾール石ってなんぞや？」といっぱいになる。もう、調べるのでさえも、めんどくさい。そう思って「薬草ときのこ１０００種」を静かに閉じて、頭を上げた。
そこで今度は、拭きそうになる。
Aが見たのは、ハーマイオニーが「ベアゾール石がどこにあるのか」を知っているらしく、思いっきり高く、椅子に座ったままであげられる限界まで高く手を伸ばしていた姿。
彼女は、よっぽど、答えたいらしい。
しかし、スネイプ先生はハリーの近くに座っていて、ちゃんと目に入っている筈のハーマイオニーを無視する。
「わかりません」ハリーがもう一度答えた。
「クラスに来る前に教科書を開いて見ようとは思わなかったわけだな、ポッター、え？」
それに対するスネイプ先生の反応は、冷たいモノだった。少し、理不尽ではないか？ とAは憤りを感じる。
ハーマイオニーの手がプルプルと震えている。彼女はよっぽど、よっぽど答えたくて仕方がないらしい。
スネイプはもう一度ハリーに質問する。
「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね？」
この質問でとうとうハーマイオニーは椅子から立ち上がり、地下牢の低い天井に届かんばかりに手を伸ばした。
この質問でとうとうAは手を上げ周りが驚くのも気にせずに、先生と声をかけた。頭に少しばかり血が上っていたのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
