甘いもの ページ48
グリフィンドールが嫌いなの？ と聞いたのが間違いだった。
マルフォイは、はんっと笑い、嫌いじゃないと言った。
「嫌いではないが、軽蔑しているんだ」
「ハリーがいるから？」
ほんの少しだけ、睨まれる。Aは少し首をすくめる。そのままマルフォイの視線から逃げるようにオートミールを口にした。
スリザリン生は基本、他の寮生と絡まない。まあ、寮生内の絆は強いのだが。だからか、他の寮生を悪く言う人もいる。なので、その寮監であるスネイプ先生も、他の寮生に対して、厳しいのではないか……ハリー、ハーマイオニー、ロン、双子のフレッド、ジョージをグリフィンドール生の友達として持っているAとしては、少々不安だった。
ちょうどその時、郵便が届いた。とはいっても、バイクに乗ったお兄さんが運んでくるわけがない。Aの両親が学校に手紙を返した時と同じ、ふくろうが運んでくるのだ。
はじめこそ、何十羽というふくろうが飛んでくるのに、席を立ってまで驚いて、マルフォイに笑われたが、今ではもうすっかり慣れたものである。それどころか、楽しみでさえある。
Aのふくろう、ズクは、たまに両親からの手紙を運んできた。もちろん、Aからもズクを使って返事を出している。
しかし、隣のマルフォイのふくろうは、毎日毎日、お菓子付きの手紙を持ってくる。
それが、Aにとっての「良い事」だった。
マルフォイが、Aが甘いもの好きだと知った時から、お菓子やらなんやらをくれるようになったのだ。
今日もまた、マルフォイにお菓子と手紙が届けられる。
今日はくれないかもなぁ、と思い、席を立って授業簿準備をしに行こうとした。
「おい」
ローブが引っ張られる。振りかえってみれば、マルフォイがAのローブを引っ張って、もう片方の手をAの方に突き出していた。
「え、いいの？」
「いつも物欲しそうに見てるだろ」
ありがとう！ と言って素直にマルフォイの手の中にあるものを受け取る。日本人はタダと言われるものに弱いのだ。
「
「なんだ？」
「
「ああ、『すっぱいペロペロ酸飴』だからな」
「
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
