はじめまして、ルームメイト。 ページ45
A・サトウと書かれたネームプレートは、もう一つのネームプレートの下にかかっていた。
どうやら、２人部屋らしい。
カチャリと、どこかひんやりとしたドアノブを握り、開ける。あっと可愛らしい声が耳に入った。
「私……、わたし」Aのルームメイトの子がこちらにズン！ と近づく。が、顔を下に向けて、もじもじしているので、少しだけ可笑しい。
「うん、ネームプレートを見たよ。ミリセント・ブルストロード、……さんだよね」
その子が大きいので、思わず�爐気鶚瓩班佞餌�しする。
「�爐気鶚瓩世覆鵑董�！ いらないわ！！」
その子――――ミリセント・ブルストロードは体も大きければ、声も大きかった。しかし、やはり手をモジモジさせている。
えー、っと。Aはびっくりするが、すぐに手を差し出す。
「じゃ、ミリセン……」
ミリセント？ と言おうとすれば、今度はちょっと不貞腐れた。
「えー、あー、じゃあ、……ミリー？」
おずおずと聞けば、その瞬間、ミリセントの少しばかり大きい顔に、ぱあっと笑顔が広がり、これまた大きな手でぎゅっと手を握られる。
「�爛潺蝓辞瓠�！ 嬉しい！！ よろしくね、A！！」
ミリセントこと、ミリーはそのままブンブンと腕を振った。
彼女は身体は大きいし、顔は四角張っている。更にひどいこと言わせてもらえば、がっちりとした顎が戦闘的に突き出している……でも、シャイな子なんだな……。
Aはもう一度、よろしくね、と言って、今度は自分から腕を振った。
A・サトウとルームメイト、ミリセント・ブルストロードが住む事になった部屋には、タペストリーが壁にかかって、緑色のランタンが天井から下がっているが、後他は自分達の荷物と、ベッドが二つ置いてるだけだった。
しかし、そのベットがすごかったのである。
ファーレイの演説によれば、「緑の絹の掛け布がついたアンティークの4本柱のベッド」なのだが、まず、その大きさが、大きさだ。
少しばかり大柄で、まだこれからも伸びるであろうミリセントが縦にも横にもスッポリと十分収まる。
そして絹の掛布団。試しに座ってみたら、フッカフカ、ふっわふわだった。
ミリセントと他愛もない、当たりはずれもない事を話しながら、自分のトランクから寝間着を取り出し、着替えた。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
