どうもこんにちは日本人と賢者の石です。 (ページ43)

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メロディーがない歌ページ43

エヘン、とダンブルドア校長先生が咳払いをして、立った。

　とうとうデザートも消えてしまった頃だった。大広間がシーンと静まり返る。

「全員よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言三言。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。一年生に注意しておくが、構内にある森に入ってはいけません。これは上級生にも、何人かの生徒たちに特に注意しておきます」

　ダンブルドア校長先生の目がキラキラっと、グリフィンドールの方を見た。

　お知らせは、もう少し続く。

　管理人のフィルチという人から、「授業の合間に廊下で魔法を使わないように」という注意が来た、とか。

　今学期は二週目にクィディッチの予選があるから、寮のチームに参加したい人はマダム・フーチに連絡すること、とか。

「最後ですが、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい四階の右側の廊下に入ってはいけません」

　これには、冗談だと思ったのか少数の生徒が小さく笑い、監督生は怪訝な顔をしていた。

「では、寝る前に校歌を歌いましょう！」

　ダンブルドア校長先生が声を張り上げた。Aには他の先生方の笑顔が急に強張ったように見えた。

　しかし、Aは戸惑ってもいた。よくある事だが、新入生は入学式に校歌を歌えない。なぜならメロディーも歌詞も全く知らないからだ。

　せめて歌詞だけでも見よう、慌てて周りを見るが、歌詞を書いたボードのような物はどこにも無い。

　ダンブルドア校長先生は魔法の杖を、杖先に着いたゴミをはらうようにヒョイッと動かすと、金色のリボンが長々とんがれ出て、テーブルの上高く昇り、蛇の様にクネクネと曲がって、なんと、文字を書いた。

「みんな自分の好きなメロディーで。では、さん、し、はい！」

　その瞬間、大広間に生徒一人ひとりの声が轟いた。Aは急なことに驚いて、声も出ないが(ほとんどの新入生がそうだった)よくよく聞けば、やはり、それぞれメロディーが違うが、「ホグワーツホグワーツホグホグワツワツホグワーツ……」と歌っていた。

　完全に歌い遅れたAは、とりあえず、黙っておくことにした。まさか、メロディーが自由な校歌があるだなんて！

　メロディーが一人ひとり違うのだから、終わりだってバラバラだった。最後に聞こえてきたのは、グリフィンドールからで、なぜか葬送行進曲で歌っていた。きっと、あの双子だろう。