スリザリンというテーブル ページ42
ジェマ・ファーレイ監督生の演説は、素晴らしいモノだった。
おめでとう、という歓迎の言葉から入り、寮の説明、スリザリンについてのいくつかの誤解について、スリザリンがどんなに素晴らしい寮か、血みどろ男爵の紹介、諸注意……等々。
Aは、「血みどろ男爵」が、パーキンソンの隣に座っているゴーストということに驚き、また、その見た目から納得した。
そして、今度は家の話題になった。マルフォイの隣から「血みどろ男爵」が去り、彼は水を得た魚、息を吹き返したかのように、家族自慢をペラペラと話すのが聞こえる。
ファーレイ監督生の演説で、少しだけお腹が食べ物を消化したので、Aはもう一度フォークに手を伸ばしていた。
「それで？ あなたはどうなの？」
血みどろ男爵がいなくなったので、席を詰めて、どこかうっとりとマルフォイの話を聞いていたパーキンソンがふと、話に入っていなかった二人――――Aとその向かいのノットに話しかけてきた。
「おや、君は汽車の中で会った――――」
「A。A・サトウ。ドラコ・マルフォイだよね？」
「そうだ。そうか、スリザリンに入ったのか」
「なんか、驚いてるみたいだね？」
「当り前だ。アイツらと一緒に乗ってたからな」
こともなげに話し込みそうになるAとマルフォイを、二人の間のパーキンソンが「あなたのご家族はどのような人なの？」と聞いた。
「うち？ うちは、普通じゃないかな。お父さんもお母さんも魔女だけど……」
「だ・け・ど？」マルフォイが不思議そうに聞く。だけど、という言葉にひっかかりを感じたようだ。
「あ、こっちではソレが普通か。うん、じゃあ普通だよ。普通の魔法使いと魔女の両親」
皆がAのことを、少し不思議な事を言った人、を見るような目で見る。Aは当然、それに気が付く。
「あー……っと、私、実はつい最近まで、マグルの世界にいたんだよね。だから」
変なこと言うかも、とゴニョゴニョと言えば、一瞬、テーブルが静かになる。
「そう、でも、純血、なんでしょ？」パーキンソンが沈黙を破るように少し声を大きくして聞く。
「じゅんけつ……純血……うん」
「そうよね！ そうじゃなきゃスリザリンにいないものね！」
途端にわき上げるスリザリンのテーブル。よくマグルの世界でやって来れたな、とAは隣に座っていたザビ二に肩を叩かれた。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
