ホグワーツへ ページ34
ハーマイオニーが使っているコンパートメントの中で、ローブに着替えていると、車内アナウンスがかった。
「あと五分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校に届けますので、車内に置いて行ってください」
あと五分……！ Aの腹の中が、緊張するやら興奮するやらで、どうにかなってしまいそうだった。
「ああ、あと五分だわ……！ ほら、行きましょう！」
ハーマイオニーが着替え終わったAの腕を引っ張る。
「あ、うん、ああ、そうだね」
Aが腕を引っ張られながら、列車の通路に出た。
汽車はますます速度を落とし、完全に停車した。押し合いへし合いしながら列車の戸を開けて外に出ると、小さな、暗いプラットホームだった。夜、独特の冷たい空気が余計、Aの身体を冷やした。
「
一瞬、雷が落ちたか、大太鼓が打ち鳴らされたかと思った。Aとハーマイオニーは二人そろって飛び上がった。それは他の何人かの生徒もそうだった。
音のした方を見れば、そこには、あまりにも大きな人がいた。生徒たちの頭の上で、暖かな火が灯っているランプが浮いてるように見える場所に、彼の手があるのは確かだった。
「ハリー、元気か？」大男が言う。
そしてハリーと仲が良い、ということも確かだった。
「さあ、ついてこいよ――――あとイッチ年生はいないかな？ 足元に気を付けろ。いいか！ イッチ年生、ついてこい！」
大男がクルリ、と向きを変えて小道の方へと行く。彼のすぐ後ろについていた一年生たちが、困惑したようにこわごわとついて行き、その子たちに、後ろの皆はついて行った。
滑ったり、つまづいたりしながら。険しくて狭い小道を、みんなは大男に続いて降りていった。右も左も、真っ暗だった。
躓きながら、Aは、きっとものすごく木が生えてるんだ。じゃなきゃ、月の光が届いて、ちょっとは明るいはずだもの。
「みんな、ホグワーツがまもなく見えるぞ」
その声でAは、転ばないように下を向いていた顔を、やっと上にあげた。
「この角を曲がったらだ」大男の声が、何かを期待しているようなものを含んでいる。
うおーっ！ と一斉に声が沸き起こった。Aは口に手を当て、目の前の大きな黒い湖の向こうにある、壮大な城に、小さく歓声を上げた。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
