また増える ページ32
入ってきたのは、今度は男の子三人だった。
Aはまず初めに、背の高くガッチリとした後ろの二人に目が言った。
「ああ、こいつはクラップで、こっちがゴイルさ」
その声で、ようやくAは目の前の男の子に気が付いた。プラチナブロンド――――もっっの凄く薄い茶色の髪の毛をオールバックにしていて、肌は白く、顎がとがっている。
そして、と少しばかり偉そうに言う。
「そして、僕がマルフォイだ。ドラコ・マルフォイ」
ロンが軽く咳払いをする。しかし、肩が震えている。笑いをごまかそうとしたようだ。しかし、それはやはり気が付かれてしまった。
「僕の名前が変だとでもいうのかい？ 君が誰だか聞く必要もないね。パパが言ってたよ。ウィーズリー家はみんな赤毛で、そばかすで、育てきれないほどたくさん子供がいるってね」
そこまで言ってから、ドラコ・マルフォイの目が呆然としているAに止まる。
目が合って、そこで初めてAは自分が名乗っていないことに気が付く。
「あっ、え、A・サトウ、です」
思わず、いちいち席を立って挨拶をしてしまった。しかも勢いよく。
「ああ、……これは失礼」
Aのその反応に、マルフォイはなんの感情も表さなかったが、慣れた手つきで彼女の片手をとる。
「レディがいるとは知らずに……失礼を」
そして、口付けるふりをした。もちろん、ふり。真似事だ。本当に口を付けたわけではない。しかし、日本人であるAにとっては一大事の事である。なんせ、日本人はこのような挨拶をしないので。
びっくりするやら、恥ずかしいやらで、自分でもよくわからない顔をしているAに、マルフォイは少しだけ笑みをこぼし、手を離す。
「さて、ポッター君。そのうち家柄のいい魔法族とそうでないとがわかってくるよ。間違ったのとはつき合わない事だね。そのへんは僕が教えてあげよう」
マルフォイが笑みを浮かべながら、ハリーに手を差し伸べる。しかし、ハリーはその手をとらなかった。
「間違ったのかどうかを見極めるのは自分でもできると思うよ。どうもご親切さま」
ついでに、冷たく皮肉を込めて。
マルフォイの顔にピンク色がさした。そして絡みつくように言う。
「ポッター君。僕ならもう少し気を付けるがね。もう少し礼儀を心得ないと君の両親と同じ道をたどることになるぞ」
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
