お菓子がいっぱい ページ26
「君達の家族はみんな魔法使いなの？」
ハリーがそう言うのがきっかけで、A、ハリー、ロン、の三人は自分の事について話した。
Aは特に、ロンの家族について驚くことが多かった。
例えば、彼の兄弟は自分も含めて７人。長男は首席でホグワーツを卒業していて、次男はクィディッチというスポーツのキャプテン、三男は、現在進行形で監督生、あの双子、フレッドとジョージは四男五男でいたずらばっかりやるけれど、成績はいい……などなど。
なお、Aとハリーは兄弟が(しかも魔法使いの！)多くていいな、と言ったが、本人は、「なんにも新しいものがもらえないんだ」と言っていた。
彼は、制服とローブは長男、ビルのお古で、杖は次男のチャーリーのを使用している。
「ペットだってパーシーのお下がりのねずみをもらったんだよ」
ポケットから取り出したねずみは、ぐっすり眠っていて、スキャバーズというらしかった。
ハリーが、いとこであるダドリーのお古を着せられて、誕生日にはろくなプレゼントをもらったことがない……と言った後、Aが、自分の家族の事などを話すと、今度はロンが驚いた。
『魔法が使えるのに、使わないの！？ すっげぇ、よく生きてこれたね』
『んー……というか、私、マグルの世界にずっと住んでたから』
『ひぇぇぇ……』
話しているうちに汽車はロンドンを後にして、スピードを上げ、牛や羊のいる牧場のそばを走り抜けていった。
十二時頃、通路でガチャガチャと大きな音がして、えくぼのおばさんがニコ二コ顔で戸を開けた。
「車内販売よ。何かいりませんか？」
Aはハリーの肩越しから、通路とワゴンをのぞいた。
ワゴンにぎゅうぎゅうとつまっているのは、『バーティ・ボッツの百味ビーンズ』やら『ドルーブルの風船ガム』やら、『蛙チョコレート』、『かぼちゃパイ』、『大鍋ケーキ』、『杖型甘草あめ』……見たこともないお菓子がたくさん詰まっている。
当たり前だ。ここは魔法界……Aにとってはまだ異世界なのだから。
しかし、正直、なにを買うべきかわからない。ハリーは少しづつを全部買っていたが、いやいや、そんなにお金を渡されたわけじゃない。
「ロン」
サンドイッチを持ってきたから、と口ごもっていたロンが目線を上げる。
「なにか、おすすめってある？ わかんなくて」
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
