振ってみる ページ17
覚えておりますよ……とオリバンダーさんは懐かしむ様に言う。
「ミツキさん、貴女の杖は、２５ｃｍ、柳の枝と
「ヒロカズさん、貴方の杖は……そうそう、ドラゴンの心臓の琴線と樫の木で、１８ｃｍ……しなり強く、ふりごたえがある」
ご老人は、ふふ、と楽しそうに笑う。「覚えていてくれたんですね」母が頬をほころばせた。
「当り前じゃ。打った杖は全て覚えておる……さて、さぁて、あなた方のお嬢さんにも杖を……どちらが杖腕ですかな？」
「つえうで？」
「利き腕でいいと思うよ」
父にそう言われたので、Aはメジャーを取り出したオリバンダー爺に、右手を出す。
「そういうことなら、えっと、右です」
「腕を伸ばして……。そうそう」
老人はAの肩から指先、手首から肘、肩から床、膝から脇の下、頭の周り、と寸法をとった。図りながら老人は話をつづけた。
「お嬢さん。オリバンアーの杖は一本一本、強力な魔力を持ったものを芯につかっております。
「それにしたって、
そういうと、棚と棚の間に隠れて消えてしまった。そして箱を持ってくる。「もうよい」目の大きさをはかっていた巻き尺がクシャクシャっと丸まった。
「では、お嬢さん。これをお試しください」
Aは言われたとおりに、『ぶなの木にドラゴンの心臓の琴線。２３ｃｍ、良質でしなりがよい』杖を少しだけ振る。
ガンっと音がして後ろで立っていた父が店の戸にぶつかっていた。オリバンダーさんが、うぅむ……と唸り、Aの手から杖を取り上げた。
次に試したのは、『柊と不死鳥の羽根、２８ｃｍ、良質でしなやか』杖だった。この組み合わせは珍しいらしい。
が、しかし。今度は振ろうとする前に取り上げられてしまった。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
