どうもこんにちは日本人と賢者の石です。 (ページ14)

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この世界のお金ページ14

ついたのは、一つの扉の前。プティが、父が取り出したあの鍵で開ける。

　その中には、金貨の山、銀貨の山、そして圧倒的に銅貨の山が多かった。この金貨がガリオンで、銀貨がシックル、そして銅貨がクヌートなのだろうとAは思った。

「おお、だいぶたまっていたな」

「いいから、入れるのを手伝ってくれる？あなた？」

　ああ、すまん、と父は近くの銅貨の山の上の方を崩し、母が置いた袋にいれはじめる。

「これは、貴女の金庫よ。でも、今は渡せない……貴女がもう少し大きくなって、お金の使い方を学んだら、鍵を渡すわ。そうしたら、自由に使いなさい」

　金庫をプティが閉めてから、母は言った。娘は、ただ、「うん。」と答えるほかなかった。

　グリンゴッツから――――正確には、ロンドンの地下深くから――――出たAは思わず目を細める。モグラになった気分だ。両親もそうらしい。

「じゃあ、とりあえず制服ね」初めにモグラ状態から脱した母が、ホグワーツからのあの手紙を出しながら言う。

　どうやら、あの時Aは気が付かなかったが、他にも紙は入っていたらしい。そしてその紙は、学校に必要なものが書いてあるらしかった。

「『マダムマルキンの洋装店』が良いかしら」

「ああ、それが良い」

　あら？と母が首をかしげる。

「あなたは、娘のスリーサイズを知るのが趣味なのかしら？」

「……あなたは教科書とかを買ってきて下さる」

　母の声のトーンが３つも４つも落ちた。はいっという父の声のトーンは３つも４つも上がった。

　Aは母に引きずられるようにして、とある店の前に来た。店の看板には『マダムマルキンの洋装店――――普段着から式服まで』とかいてある店だ。

「こんにちは」

「あらあら、いらっしゃい。お嬢さんホグワーツ？」

　この人が『マダム・マルキン』なのだろう。マダムは藤色ずくめの服を着た、愛想のよい、ずんぐりとした魔女だった。

「ええ。今年から……」

「それはおめでとうございます。全部ここでそろいますよ……さあこっちに」

　母から離れて、踏み台の上に立つ。するとマダムが上から長いローブを着せ掛け、丈を合わせてピンでとめ始めた。母が、「可愛い長さにできる？」とマダムに耳打ちをした。