196_ 決断 ページ17
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望くんが家まで送ってくれたけれど、
私はさっきの自分を思い返して、
どんな顔で望くんの隣を歩けばいいのか分からなくて。
酷くぎこちない笑みを浮かべていたと思う。
部屋に戻り、布団に入っても私はなかなか寝付けなかった。
暗い天井を見つめていると、逆に落ち着かなくて、
私は机の前に座り、デスクライトを付けてから引き出しを開けた。
奥の方にしまわれている白い封筒。
光に照らされて、ぼんやりと光っている。
そして、流星の筆跡を視線でなぞると、
やっぱり様々な記憶と、そして愛おしさが込み上げる。
この手紙を貰ったあの日と同じように。
封筒からそっとルーズリーフを取り出す。
これを読むのは二回目。
流星らしい不器用な字も、不器用な文章も、
全部私の知っている流星。
流星の事情は未だに分からない。
けれど、散々お互いに離れてしまったと思い込んでいた心は、
結局は物理的な距離に誤魔化されていただけで、
私達はずっと繋がっていたのかもしれない。
今日で、答えは出た。
いや、きっと答えはもっと前から出ていて、
私は気付けていなかっただけ。
どんなに望くんに揺れても、
どんなに望くんが口に出して伝えてくれても、
私は結局一度も好きと言葉に出来なかった。
望くんとの関係を進展させようとしてみた時、
何だか上手くいかなくて、いつも通りに振る舞えなくなったのも、
やはり、私は望くんと恋人になる未来が描けていなかったからだったのだと。
今更気が付いた。
望くんの表情を思い浮かべて、胸が痛む。
高校生活の楽しかった思い出の全部に、望くんがいる。
そして、辛かったことや、苦しかった記憶にも。
でも、そこから救ってくれたのも全部望くん。
そんな彼を、私は誰より特別な、友達として。
心から大好きなんだ。
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しょーゆ(プロフ) - みなみさん» かしこまりました! (6月22日 17時) (レス) id: 474224f74f (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - しょーゆさん» 新作ではありませんが、前に作って更新停止していたお話を今二つ連載中ですのでもしよかったら覗いてみてください!もちろん大歓迎です!ありがとうございます! (6月22日 11時) (レス) id: b2af61b783 (このIDを非表示/違反報告)
しょーゆ(プロフ) - みなみさん» 次回作も首を長くして待ってます!お気に入り作者さんに登録してもよいですか? (6月22日 11時) (レス) id: 474224f74f (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - しょーゆさん» コメントありがとうございます!私の作品で泣いていただけるなんて、こんなに嬉しいことはないです。こちらこそありがとうございます☺︎ (6月22日 9時) (レス) id: b2af61b783 (このIDを非表示/違反報告)
しょーゆ(プロフ) - 久しぶりに大号泣しました。感動作をありがとうございます‼︎ (6月22日 2時) (レス) @page45 id: 474224f74f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみ | 作成日時:2023年5月30日 19時