167_ 選択の答え合わせ ページ20
·
映画を見ているみたいだった。
試合が終わる頃には、私の頬は夏なのに、涙で冷たかった。
試合は5-1で勝利。
その内三点は、望くんが決めた。
こんな試合は見たことがない、というくらいに、
望くんの動きにはやっぱり一切の無駄がない。
疲労骨折を受け、
力の入れ方やウォーミングアップから見直したからなのか、
素人の私に詳しいことは分からないけれど。
それでも動きが怪我の前よりもさらに洗練されていることは、
明らかだった。
「私、あんな望初めて見た」
夕陽が傾き始めたグラウンドを見たまま、日和ちゃんが呟く。
「望の試合、小学校の頃から何回も見て来たけど、
今日の望が今までで一番すごい」
「うん…ほんまに、」
「Aのおかげや。
あの日Aが望の傍に居てくれたから。
あれからずっと、望のこと支えてくれたからや。
幼馴染のあんな姿見られて、私自分のことのように嬉しい。
A、ありがとう」
日和ちゃんが、目を細めて微笑んでいる。
「ううん、私大したこと出来てへんよ。
けど、あの日望くんの傍を離れへんくてよかったって、
心から思えた」
自分のあの日の選択を答え合わせすることなんて、出来ないと。
ずっと、そう思っていた。
両方の選択肢の先にある未来を、
それぞれ見ることなんて出来ないから。
それでも、今日やっと、あの日の自分の選択が正しかったと、
心から信じることが出来た。
言い聞かせたりなんてしなくたって、そう思えたんだ。
·
234人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みなみ(プロフ) - てたたけさん» コメントありがとうございます☺︎そのお言葉がすごく励みになります!まだ長くなりそうですが、なるべく毎日更新で頑張るのでこれからも応援よろしくお願いします! (5月22日 10時) (レス) id: b2af61b783 (このIDを非表示/違反報告)
てたたけ(プロフ) - コメント失礼します!いつも続きが気になって楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (5月21日 21時) (レス) id: d26d38b11f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みなみ | 作成日時:2023年5月16日 15時