165_ 復帰試合 ページ18
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望くんの怪我から三か月が過ぎた。
青い芝生は、やっぱり見慣れなくて私には眩しかった。
「日和ちゃん、それじゃ不審者やで」
「やって暑すぎんねんもん〜」
前回はまだ春先やったから見やすかったけど、やっぱり夏はしんどいな〜と手持ち扇風機で涼んでいる日和ちゃん。
そんな彼女はキャップを目深に被って頭からタオルをかけていて、顔が全然見えない。
「望の復帰試合なんやから、ちゃんと見てあげな、
それほんまに見えるん?」
「大丈夫、見えてる」
日和ちゃんの隣に座る崇裕先輩が、
彼女の帽子のつばを上げたり下げたりと悪戯して、
冷たくあしらわれている。
大学生になった崇裕先輩と会うのは初めてで、
制服を着ない姿に何だか急に大人っぽくなったような感じがしてしまったけれど、日和ちゃんとふざけ合って幸せそうに笑う姿に、
ああ、崇裕先輩だって。
何だか安心した。
怪我をしてから、初めての公式戦。
練習試合は二回ほど出たらしいけれど、
やはり望くんがサッカーをしている姿をちゃんと見るのは怪我以来初めてだから、私の方が緊張してしまう。
少しすると、ウォーミングアップで部員達が出てきた。
軽く走ったり、ドリブルをしている人たちの奥に、
座って入念にストレッチをする望くんの姿を見つけた。
イヤホンをして、ゆっくりした動きで足を伸ばしている。
そんな望くんの姿を、私は黙って見つめていた。
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みなみ(プロフ) - てたたけさん» コメントありがとうございます☺︎そのお言葉がすごく励みになります!まだ長くなりそうですが、なるべく毎日更新で頑張るのでこれからも応援よろしくお願いします! (5月22日 10時) (レス) id: b2af61b783 (このIDを非表示/違反報告)
てたたけ(プロフ) - コメント失礼します!いつも続きが気になって楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (5月21日 21時) (レス) id: d26d38b11f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみ | 作成日時:2023年5月16日 15時